10月の読んだ本 まとめ

2014年10月の読書メーター
読んだ本の数:30冊
読んだページ数:6993ページ
ナイス数:6946ナイス

楽園追放―Expelled from Paradise― (ハヤカワ文庫JA)楽園追放―Expelled from Paradise― (ハヤカワ文庫JA)感想
ノベライズとしてはよく書けていると思うけれども、小説としては色んな意味でシンプルすぎる。確かに映像で見れば映えそうなガジェットが多いし、ちょっとしたエピソードにも厚みが出そうだ。特に終盤のバトルはアニメーションで見てみたい。そういったアニメ映画に対する興味を喚起するという意味ではノベライゼーションとして役目を果たしていると思う。それでもせっかく小説化するのであれば文章ならではの厚みを出す余地もたくさんあったのでそこを頑張ってほしかった。骨組みだけで肉付けが薄すぎるという感じ。アニメ映画はぜひ見たいですね。
読了日:10月31日 著者:八杉将司
読書狂の冒険は終わらない! (集英社新書)読書狂の冒険は終わらない! (集英社新書)感想
おお、これは面白い。本当に「飲み屋で隣席の男二人が話していて、聞き耳を立てたら結構面白かった」ような本。著者たちが同世代なので知ってる話題がたくさんあるし、楽しそうに話してるのがたまらん。角川映画とか晩年の大藪春彦作品とか懐かしいなあ。赤川次郎についてはもっと突っ込んでほしかった。変に格調高いブックガイドぶってないのが実に良い。これは第2弾が出てほしい。隣席の男二人に入れないのが寂しいがここで本について語るのも近い楽しみか。日々の読書も積もって想い出になるもんだね。あと猛烈に魔界転生再読したくなった。
読了日:10月30日 著者:三上延,倉田英之
ドリフターズ  第4巻 (ヤングキング・コミックス)ドリフターズ 第4巻 (ヤングキング・コミックス)感想
久々の新刊なので前後の流れを忘れていたが容赦なく引き込まれる。内容も絵も濃いのでまだ4巻という気がしない。終盤はさらに風呂敷広がる感があったしこれからさらにさらに面白くなりそう。しかしこの刊行ペースの遅さはまるで拷問だぜ。この設定で描いて設定負けするどころか生き生きキャラを動かしまくれるのが凄い。
読了日:10月30日 著者:平野耕太
楽園追放 mission.0 (ガガガ文庫)楽園追放 mission.0 (ガガガ文庫)感想
アニメ映画の前日譚だそうだが単体のサイバーパンク活劇小説としてよく出来ている。いろいろモチーフやテーマを詰め込んであるので少し忙しい印象があるけれど逆に考えれば、ノベライズ作品という枠の中で著者がオリジナリティーを出そうとしていたり、より読み応えある作品にしようと健闘したということではあるまいか。もっとページ数があって書き込んでくれれば完成度が高くなったと思う。でもとりあえずはライトノベル、メデイアミックスという枷の中でこれだけやってくれたことを素直に喜びたい。
読了日:10月26日 著者:手代木正太郎
罪×10(2) (ガンガンコミックスONLINE)罪×10(2) (ガンガンコミックスONLINE)感想
初巻はネタ振りといった感じで2巻入ってからぐいぐい笑うポイントが増えてきた。よくわからん魔法少女設定がアホらしくてなんともいえん味。オチの切れ味の良い話も多くて真面目に感心する。
読了日:10月24日 著者:山内泰延
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! (7) (ガンガンコミックスONLINE)私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! (7) (ガンガンコミックスONLINE)感想
2回目の夏のお話は前年にくらべて痛々しさがマシになってきた。もこっちが孤独なエピソードも減ってきたし彼女なりには成長してる気がせんでもない。だからこそ年下なのに上から目線なきーちゃんが出てくる回が妙に面白い。
読了日:10月23日 著者:谷川ニコ
月刊少女野崎くん(5) (ガンガンコミックスONLINE)月刊少女野崎くん(5) (ガンガンコミックスONLINE)感想
ずっと野崎くんの部屋か学校がお話の舞台だったので合宿に行くのは新鮮。異様に旅館の雰囲気がよく描けていてぐっと気分が出る。
読了日:10月20日 著者:椿いづみ
月刊少女野崎くん (4) (ガンガンコミックスONLINE)月刊少女野崎くん (4) (ガンガンコミックスONLINE)感想
巻数を追うごとにアニメの原作を読んでいるモードから素直にコメディーとして漫画を楽しめてる感が増してくる。すれ違いシチュエーションの作り方が上手すぎ。
読了日:10月20日 著者:椿いづみ
月刊少女野崎くん(3) (ガンガンコミックスONLINE)月刊少女野崎くん(3) (ガンガンコミックスONLINE)感想
だんだんとアニメ化されてないエピソードが増えてきたし、さらに笑いどころが増えてきて楽しい。なりより剣さんが前野をボコボコにしたのは溜飲が下がる。
読了日:10月20日 著者:椿いづみ
魔弾の王と戦姫 5 (MFコミックス フラッパーシリーズ)魔弾の王と戦姫 5 (MFコミックス フラッパーシリーズ)感想
黒騎士ロランの描きようがなかなかの迫力。この漫画家さん、ダイナミックな場面描くのが上手いんだなあ。むしろたくさん出てくるヒロインは不得意なのを無理して描いてたんじゃなかろうか?特にこの巻の合戦場面の臨場感は素晴らしく絶好調。
読了日:10月19日 著者:柳井伸彦,川口士,よし☆ヲ
魔弾の王と戦姫 4 (MFコミックス フラッパーシリーズ)魔弾の王と戦姫 4 (MFコミックス フラッパーシリーズ)感想
巻を追うごとにこなれてきて良コミカライズになってきた。特に存在感のある人物が描けるのが強みに思う。端折ったパートを巻末4コマでフォローしてくるあたりの頑張りも買いたい。
読了日:10月19日 著者:柳井伸彦
魔弾の王と戦姫 3 (フラッパーコミックス)魔弾の王と戦姫 3 (フラッパーコミックス)感想
コミカライズ3巻目になると作風に落ち着きが出てきた感じ。急ぎ足な展開は仕方ないが終盤の戦姫対戦姫の対決は漫画ならではの良い見せ場に仕上がっている。
読了日:10月19日 著者:柳井伸彦,川口士
魔弾の王と戦姫 2 (フラッパーコミックス)魔弾の王と戦姫 2 (フラッパーコミックス)感想
絵の雰囲気やテンポが原作よりアニメに近い。おおむね面白いが合戦場面が端折り過ぎな感じ。派手な場面を絵で魅せるのはそこそこ上手いけれども。
読了日:10月19日 著者:柳井伸彦,川口士
月刊少女野崎くん(2) (ガンガンコミックスONLINE)月刊少女野崎くん(2) (ガンガンコミックスONLINE)感想
アニメでは少なかった担当の剣さんと野崎くんのからみがたくさんあって楽しかった。アニメで知ってるエピソードも4コマなりのテンポとスピード感あって面白い。
読了日:10月19日 著者:椿いづみ
聲の形(6) (講談社コミックス)聲の形(6) (講談社コミックス)感想
続けて単行本で読んできた者としては表紙がすでに衝撃的。もともと群像劇的ではあったがこの巻ははっきりその要素を打ち出してきた。各登場人物の心情がもつれた糸のようにからむ様を描き出す筆致が素晴らしい。というか凄い。それぞれに思うところあれど多すぎて一気に視点が膨らんできた手応えがある。さて次巻完結だそうだがこれをどうまとめるのかどう着地するのか全く見えずひたすら次巻を渇望する。巻末の有村架純との対談は内容が浅くて無くても良いようなもの。
読了日:10月19日 著者:大今良時
魔弾の王と戦姫 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)魔弾の王と戦姫 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)感想
まずまずの出来のコミカライズ。ページによって微妙に画のクオリティーの上下はあるがまあ良し。忠実に原作を再現しているのはいいがもうちょい一冊のボリュームがほしいな。
読了日:10月19日 著者:柳井伸彦
月刊少女野崎くん(1) (ガンガンコミックスONLINE)月刊少女野崎くん(1) (ガンガンコミックスONLINE)感想
アニメのおさらいのつもりで読み出したら四コマギャグ漫画として切れが良い。絵柄の可愛らしさもよろしいです。あらためてアニメは原作漫画を上手く料理してたなー、と思う。
読了日:10月18日 著者:椿いづみ
魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 3 (MF文庫J)魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 3 (MF文庫J)感想
設定を無駄使いせず、積み重ねで面白くしてくるなあ。細かいところまで良く書けている。一冊でちゃんとエピソードがまとまるのでスッキリする反面、描写がコンパクトで豪快さに欠けるようにも感じた。ここがパワーアップすればより読み応えがでると思う。レーベルカラーに合わせたサービスシーンも節度があるのでまあ許容範囲。それより作風に対してイラストに品がなさすぎる。お話そのものは順調に成長していっているし丁寧な仕込み、盛り上げなど期待できるので続けて読んでいこう。いまのところファンタジー戦記として抜群の安定感。
読了日:10月18日 著者:川口士
魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉2 (MF文庫J)魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉2 (MF文庫J)感想
2巻も表紙イラストから受ける印象と違ってとても手堅い。今回はより大きな展開に持っていくための繋ぎのようなので、少々地味ではあるがこれは丁寧さがあとでストーリーに生きてくると見た。より重厚にするかあるいはお馬鹿な雰囲気に持っていくかすればケレン味が出そうな気がしないでもないけど、このくらいのバランスがこの作品のオリジナリティーなのだろう。良い具合にノッてきたので続けて次巻へ。
読了日:10月15日 著者:川口士
月刊少女野崎くん 公式ファンブック (ガンガンコミックスONLINE)月刊少女野崎くん 公式ファンブック (ガンガンコミックスONLINE)感想
アニメだけ見てて原作漫画読んでなくても十分楽しめた。というか中身異常に濃くね?このファンブック。読み応えありまくり。いろいろと裏話が読めてよかった。カラーページのイラストがとても美麗。画力高い作家さんなんだなあ。いずれ漫画の方も最初からちゃんと読んでみよう。
読了日:10月15日 著者:椿いづみ
死霊大名 くノ一秘録1 (文春文庫 か 46-24 くノ一秘録 1)死霊大名 くノ一秘録1 (文春文庫 か 46-24 くノ一秘録 1)感想
くノ一、ゾンビ、戦国と題材を詰めてきた。他にも細かいところでネタを仕込んでいるようだ。この巻ではお披露目程度で終わってしまって不完全燃焼ではあるが三ヶ月連続刊行なので続きを待ちたい。ヒロインが虫好きというのはナウシカを連想したがどうやら同じ人物をモデルにしているみたい。ゾンビの描写に恐怖よりユーモアが漂うのが著者らしい。
読了日:10月14日 著者:風野真知雄
魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 (MF文庫J)魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 (MF文庫J)感想
現在放映中のアニメを見た機会に。設定、描写、ストーリーの組み立てが総じて丁寧で地に足の着いた安定感はかなり良い。派手な見せ場はまだなく奇抜な展開もないが、ちゃんと足元を固めているからまだプロローグの段階としても一定の満足感は得られた。作風や出てくる人物には上品さや格調があるのにイラストがそのあたりを表現できてないのは残念。なんにしても物語のうねりやカタルシスを味わえるのは巻数を重ねてからと思うので続けて読んでいこう。あとアニメは連続ドラマとしてストーリーの再構成が上手いのもよくわかった。
読了日:10月13日 著者:川口士
甘城ブリリアントパーク2 (富士見ファンタジア文庫)甘城ブリリアントパーク2 (富士見ファンタジア文庫)感想
読みやすいしこの巻のギャグメインなお話はさすが手練れが書いているなあ、と感心する。一方で芸で流しちゃっているようにも思えてそこは感心しない。まだ2巻目でこういう間奏曲的展開がきてしまうのもどうか?と疑問に思う。これでは題材と真剣に取り組んでないような不誠実さを感じてしまった。できうればそうであってほしくないし、次巻がもう少し本筋に迫る内容であることを願いたい。
読了日:10月13日 著者:賀東招二
人類は衰退しました「のんびりした報告」 (IKKI COMIX)人類は衰退しました「のんびりした報告」 (IKKI COMIX)感想
あらゐけいいちの絵柄をもっとラフにしてぼわんとさせた作画が、独特の枯れた感じを醸し出している。特にストーリーらしいストーリーもなくスケッチ風で娯楽性も薄いが、こういう侘び寂びで読ませる漫画がコミカライズで出てくるのが面白いところ。一冊の話数が少ないのも切なさがあって逆にいい感じ。田中ロミオの世界観を漂白しちゃうとこんなに物哀しくなっちゃうんだなあ。そういえば原作の方は完結したそうなので続きを読まねば。
読了日:10月11日 著者:見富拓哉,田中ロミオ
八州狩り 決定版: 夏目影二郎始末旅(一) (光文社時代小説文庫)八州狩り 決定版: 夏目影二郎始末旅(一) (光文社時代小説文庫)感想
長編小説の体裁だがどちらかというと連作短編集に近い味わい。詰め込みすぎなのと各エピソードの繋ぎが悪いのでなんだかギクシャクした印象を受ける。もう少し行間を読む余地があればかなり違うと思うのだが。この時点では著者にシリーズ化する意識がなかったため詰められるだけ詰め込んでしまったというところか。だからシリーズ第1巻というよりパイロット版と見るべきかもしれない。今時珍しい股旅時代劇だし設定を膨らましていけばさらに面白そうだとは思うので続きも読んでいきたい。
読了日:10月9日 著者:佐伯泰英
甘城ブリリアントパーク 1 (富士見ファンタジア文庫)甘城ブリリアントパーク 1 (富士見ファンタジア文庫)感想
アニメ放映前に積読切り崩し。軽快にスイスイ読ませるのはさすがベテラン作家。冒頭からいきなり面白いしコメディーながらも芯には硬派なものがあるのも良い。だからこそなおさら気になってしまうのだが中盤以降本格的にテーマパークの立て直しに入ってから設定を活かした奇抜な展開がなく、ごく常識的なことしか起きない上に書きようもまるでダイジェスト。最後の起死回生の策もそれやったらいかんことじゃん!としか。悪い意味でリアリズムに足をつけてしまったような。文句もつけたがある程度のクオリティーには達しているので続刊も読む。
読了日:10月6日 著者:賀東招二
鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐感想
下巻は激しく、またファンタジックにドラマが揺れ動く。特に交互に語られていた2組のエピソードがゆっくりと、確実に重なっていく様は物語の鼓動が聞こえるかのごとき興奮。ミクロとマクロな視点がありどちらも引き込まれる。それらがアンサンブルのように重なって一つの大きなテーマを紡ぎだし、力強い。上巻からの期待値を遥かに上回る作品として結実。読み終われば鹿の王というタイトルにも見事な余韻がある。描かれる世界はファンタジーでも伝わるメッセージは現代を、明日を生きる我々を勇気づけるものだ。なによりそこが素晴らしい。
読了日:10月4日 著者:上橋菜穂子
鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐感想
ストーリーが波瀾万丈であったりスケールが壮大というわけでは決してない。それでも感じるこの厚みは描写の的確さ豊穣さ、込められた思想の深さ広さからくるもので小説を読む喜びに溢れてる。地に足の着いた安定感が半端じゃない。2組のエピソードが交互に語られる構成は美しく効果的で、物語の膨らみを大いに感じた。太く撚り合わされていく縄のごとし。こうしたファンタジーで医療サスペンス的な面白さがあるのも意外。語り口の平易さ美しさもあって上巻一気読み。このままの勢いで下巻突入。どこに着地するかは見えないが猛烈に期待する。
読了日:10月2日 著者:上橋菜穂子
ガールズ&パンツァー コンプリートブックガールズ&パンツァー コンプリートブック感想
なかなかに充実した内容。私としては作り手がどのような工夫をしたのかを知りたかったのでスタッフインタビューが読み応えがあった。3Dや音響に関してのインタビューは特に興味深い。なにかと作業は複雑そうだし、あえてしんどいことをわざわざやったようであるが作品を思い出すと効果的な映像に仕上がっていたことに感心する。作り手の創意工夫が適切だったのだなあ。そのあたりをまとめあげてバランスを取った水島努監督のインタビューも欲しかった。情報量が多いのでまたガールズ&パンツァーを観返すときの良い副読本になりそう。
読了日:10月2日 著者:
将軍家の秘宝 献上道中騒動記 (実業之日本社文庫)将軍家の秘宝 献上道中騒動記 (実業之日本社文庫)感想
捻った話の仕掛けは悪くないのだがやり過ぎで太さがない印象が残る。冒頭、主要登場人物が集まるくだりはそれぞれの癖のあるキャラクターを描こうとしているのはわかるが描き方がまどろっこしい。またそれがストーリー上生きているとは言い難く、後からサブキャラが増えすぎですべてにおいて散漫。読ませはするのだがすっきりしない。
読了日:10月2日 著者:出久根達郎

読書メーター