SPACE BATTLESHIP ヤマト

チェック:国民的アニメの金字塔として、1974年の放送当時から長年にわたって愛されてきたテレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」を実写映画化。地球からはるか彼方のイスカンダル星を目指し、古代進宇宙戦艦ヤマトの乗組員たちが戦いの旅を繰り広げる。監督は、『ALWAYS 三丁目の夕日』の山崎貴。主人公の古代進木村拓哉、女性パイロットの森雪を黒木メイサが演じる。日本最高峰のVFXチームを率い、最新技術を駆使した圧巻のCG映像が見どころ。
ストーリー:2194年、外宇宙に突如として現れた敵・ガミラスが地球への侵攻を開始し、人類の大半が死亡してしまう。5年後、地球が放射能で汚染される中、かつてエースパイロットとして活躍していた古代進木村拓哉)は、はるか彼方のイスカンダル星放射能除去装置がある事実を知り、宇宙戦艦ヤマトで仲間と共にイスカンダル星へ向かう。

VSXが健闘していて国産SF映画にありがちなちゃちくて恥ずかしくなるような場面は、
ほとんどなくその点では安心して見られた。実際艦載機の空戦シーンは迫力があり、
ヤマトが地表から発進するシーンは音楽が宮川泰のアレンジを使っているのもあって
心にくるものがあり十二分に大スクリーンで見栄えする映像だったと思う。
話の設定やデザインだけでなくアニメ版からリスペクトした場面がふんだんにあるし、
変形して戦うアナライザーやガミラス星人が結晶体であるなど改変した部分の処理は
上手いと思った。アニメならありでも実写で青い顔のデスラー総統出されちゃ興冷めも
いいとこだもんな。声はちゃんと伊武雅刀が演じてたけど。
で、ちゃんとリスペクトがあるからちゃんと面白い作品になっているか?とういうと
そうでもないのがつらいとこなんだよなー、この映画。
まず違和感を持ったのが劇中の時間経過。ヤマトってかなり長い期間宇宙空間を旅して
いるわけだよね。どう見たって一週間ぐらいにしか感じられんのだな。これで人類が
滅亡するまでに地球に帰還しなければならないというタイムリミットサスペンスが
ぐっと弱くなってしまった。沖田艦長の病気の進行や古代進の成長などが、えらい急な
展開に見えてしまう。加えてドラマ部分の陳腐さで娯楽室みたいなとこで飲みながら
身の上話をして和解、が繰り返されるのもどうかと。木村拓哉古代進には見えず
やっぱりキムタクで黒木メイサの森雪に唐突にキスをするとこなど失笑もの。
最後の最後に一刻を争う地球の危機を前にしてえんえんダラダラと愁嘆場を見せられた
のが一番体温が下がった。ガミラスも終わるまで待ってやるなよ。ジュブナイル
リターナーでも山崎貴監督こんなことやってたよな。こういうとこでスリルを煽るより
泣かせようとするのが邦画の悪い癖だ。
それとタイトルがヤマトなのに宇宙戦艦ヤマトが魅力的見える瞬間が発進場面以外に
ろくにない。これはという戦闘シーンが一つもなくてすぐに波動砲を撃つかワープで
切り抜けるの繰り返しで単調なのも一工夫ほしかった。
ヴィジュアルは及第点でちゃんと宇宙戦艦ヤマトを表現してたので見て損をしたとは
思わないけど、アニメにあった大事な魂と情念を取りこぼしてしまったような実写化だった。

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