私は貝になりたい
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2009/06/03
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高知の漁港で理髪店を営む清水豊松は、愛する妻・房江と一人息子の健一とともにつましくも温かな家庭を築いていた。そんな彼の元にもついに赤紙が届き、中部軍の部隊へと送られる。やがて終戦を迎え、ようやく家族との再会を果たした豊松だったが、2人目の子どもを授かった矢先、今度はMPに捕らえられてしまう。容疑は従軍中の捕虜殺害。絶対服従の上官命令に従っただけの豊松は無実を主張するが、非情な判決が下され…。
まず最初に文句を言うと久石譲の音楽が過剰でかなりウザい。大したことのない場面で
壮大に曲が掛かったり、見ていて心が動くタイミングでいかにもなテーマを大音響で
鳴らされると一気に興冷めする。
しかし、その点を除けば丁寧にきちんと作られた映画で好感を持った。
石坂浩二の矢野中尉が最後に米兵に対して残す言葉には日本人として感銘を受けたし、
他の死刑囚では笑福亭鶴瓶やほんの少しだけ登場する草なぎ剛ら好演、特に鶴瓶は
シリアスすぎるドラマの中で陽気なムードを出していて良かったと思う。
さりげに夜の空襲シーンや焼け跡になった町のCGがよく出来ている。
この映画最大の見どころは好人物で家族と再び暮らす夢を捨てない清水豊松の希望を
徹底的に砕いて非情に追い詰めていくドラマ展開で、終盤は絶望していく中居正広の
演技が凄まじく戦慄した。爛々と光る眼で家族に手紙を書く場面や、のたくるように
絞首台を登っていく様は鬼気迫る。人って完全に絶望するとああなるものなのか。
どうしても重いメッセージを発している上、あまりに救いのない話なので見ていて
楽しいという映画ではない。それでも戦争に踏み潰された一人の男の悲劇をお涙頂戴に
流さずヒステリックにもならず冷静に仕上げた作品で一見の価値があると思う。
- 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
- 発売日: 2008/10/31
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ダイジェストだけは見たことがあるな。