十三人の刺客


最近は痛快娯楽チャンバラ活劇は劇場でなかなか見る機会がないので十三人の刺客
楽しみにしていた。わりとしみじみした味わいの時代劇映画は多いんだけどね。
藤沢周平原作のとか。いや、あれはあれで好きなんだけどさ、必死剣鳥刺しだっけ。
あれも観に行きたかったし。でもバッサバッサ人斬りまくるアクションメインの
時代劇を見たいんよ。ということで公開初日に劇場に行ってきた。
時代劇ならうちの親父も見たがるかもと誘ってみたらその気になったのでひさびさに
父と一緒に映画鑑賞。客層が年齢層高めだったし丁度よかった。よく入ってたし。


工藤栄一監督のオリジナル版は今年の6月にDVDで見た。旧作がストイックで
リアリズム重視、謀略戦の上にチャンバラがあるのに対して今回の三池崇史監督は
徹底的にヴァイオレンス・アクションに仕上げていてグロ描写や下ネタまじりの
どきついギャグがまぶしてある。四肢のない女が裸で畳の上をのた打ち回るところは
夢に出そうなほど気持ち悪かった。あれ絶対テレビ放映じゃカットだな。
岸部一徳伊勢谷友介にアーッされる場面は引き笑いしてしまった。


一番びっくりしたのは稲垣吾郎の悪役っぷりの見事さでもうバカ藩主というより
サイコ藩主になっちゃってますが憎々しいし浮世離れしてて気持ち悪くて実に
いい。おかげで話にも求心力が出た。クライマックスの戦闘は旧作より敵の人数も
ぐっと増えて仕掛けの規模が大きくなって抜群の迫力。今作は当然カラーだから
鮮血の生々しさ倍増。殺陣では刀を取っかえ引っかえ二刀流で戦う伊原剛志
やたらにかっこいいし松方弘樹は目に見えてスピードが違いますねー。
それぞれの刺客が死んでいく様は過剰に劇画チックな演出が決まっていてなかなか
よろしかったと思います。旧作のスタイリッシュな雰囲気は無くなって格調という
点ではかなり落ちますが(わざと格調を落としているとは思うけども)カオスな
エネルギーが注入されて、また別のサービス満点の大活劇に生まれかわって
いるんじゃないでしょうか。


しかし最後に一点突っ込まずにはいられない。伊勢谷の野人、おまえなんで首根っこ
刺されて平然と生きてるんだよ!

十三人の刺客 [DVD]

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