キック・アス

キック・アス DVD

キック・アス DVD

ニューヨークに住むデイヴ・リゼウスキ(Dave Lizewski)は、スーパーヒーローに憧れる普通の高校生。デイヴはオリジナルのスーツとマスクを作って身に付け、自分もヒーローになって街で活動を始める。だが、何の特殊能力も強力な武器も持たない彼は、初出動のときにあっさり犯罪者にボコボコにされてしまう。その後、リハビリを終えたデイヴは松葉杖を持ってパトロールを再開。そのときの活動の動画が見物人によって撮られ、YouTubeにアップロードされ、やがてキック・アス(Kick-Ass)の名で知られるようになる。デイヴはさらにMySpaceで専用アカウントを取得し、助けを求める人々を探すようになり、また、ヒット・ガール(Hit-Girl)をはじめとする他のヒーローとも出会う。


ゆるいコメディ映画だと思って、見たらぜんぜん違うかった。いやコメディ要素も
あるにはあるんだが、そんなことより肉体的にも精神的にも痛々しくところどころ
哀切でしかも熱い。編集のテンポと音楽の使い方が神懸っていて、ただ映像に
身をまかせる心地良さ。暴力描写が凄まじくなんの能力もないなりきりヒーローな
だけのキック・アスの行動は無謀にしか見えず、実際かなりえげつない目にあうが
それでも心の中のヒーローを捨てない様はカッコ悪くても心を打つ。
これだけでも充分に感情移入しているのに唐突にキック・アスを救うヒットガール
の目の覚めるようなアクションの容赦の無さカッコよさに唖然。しかもなんて
キュートなんだ!終盤のヒットガールが単身犯罪組織殴り込むシークエンスが最高
に素晴らしい。乗り込む場面でエンニオ・モリコーネ夕陽のガンマンのテーマが
流れるのが鳥肌もので11歳の少女が一瞬クリント・イーストウッドにダブった。
ここからの殺戮アクションが血が滾るがそれ以上にヒットガールの圧倒的死地に
あれほどカッコ悪くて間抜けだったキック・アスが颯爽と救援に現れるところは
この上ない高揚感がきた。もうカッコよすぎる。あんまり魂にきたのでとうとう
泣いてしまったぞ!いやーこれは見に行って良かった。
実はそうとう気分的に下がっているときに見たのだが主人公のデイヴにはどんな
悲惨な目にあってもめげないことを教わり一気に元気がでた。
他にも細かいところで好きな場面がたくさんあるな。ヒットガールの父親役の
ニコラス・ケイジの異常さとか、むこうのオタク描写とか。どこでもオタクは
同じようなこと考えて似たような言動吐いてるんだね。
童貞力で出来てるような作品だけどデイヴに彼女が出来てイチャついてたのはちと
ムカッ腹立った。まあ彼は再びキック・アスとなりヒーローとして立ち上がるから
いいけどな。キスを求められていきなり胸を触りにいく童貞臭さには笑ったし。
とにかく最高に面白かった。続編は決定だそうで、これ一作で終わったほうが
いいんじゃないかな?という気がせんでもないが公開されたら絶対に見る。また
ヒットガールは出してくれよな。

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

キック・アス見ていて連想した本がこれ。キック・アスアメリカの中二病なら
AURAは日本の中二病ライトノベル読みすぎてコスプレする高校生の話。
派手なアクションシーンはないがそれはライトノベル的な悪が現実には存在しない
というのもある。だからキック・アスのように讃えられることすらなく身近な
蔑視や差別にさらされる。戦うことすらできないぶん、こっちのほうが哀切だ
とも言える。
生活【完全版】 (KCデラックス)

生活【完全版】 (KCデラックス)

コスプレこそしないが自警団的に勝手に街の悪と戦うという点ではこれ。
暴力シーンが痛々しいし無謀さダサカッコよさもキック・アスの行動に通じるもの
があると思う。暴力シーンと音楽のポップさで、やっぱりこれも連想したなー。これを見てるか見てないかでキック・アスのクライマックスの高揚感はだいぶ差が
ついちゃう気がする。