鷹たちの砦

鷹たちの砦 (集英社文庫)

鷹たちの砦 (集英社文庫)

「四連の鷹に結ばれた鈴を集めれば、秀吉の遺した莫大な財宝のありかが分る」豊臣家の侍女だったなぎは、この途方もない計画を実行するために関ガ原の残党を集めた。徳川方の手にある四羽の鷹たちに隠された黄金の行方を求めて、死闘が続く。大阪城落城にまつわる謎とロマンを求めて、時代小説の異才が放つ大型伝奇長篇小説。

時代伝奇小説の面白い要素をきっちり詰め込んでいてよく出来てはいるんだけど
どうも高揚感というものがない。あらすじから絢爛豪華な冒険活劇を期待して
しまったし、そういう部分もなくもないのだが仕掛けは伝奇ロマンでも文章や人物の
描き方が徹底してクールで感触はスパイ謀略小説に近い。
読み終わってみると細かい伏線が丁寧に張られていて、独特のクールさには現代性を
も感じて良い作品だとは思う。ただ、いまの気分ではもっと熱気のあるタイプの
時代小説を望んでいたので読んだタイミングが悪かったという感じかな。