ダブル

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ダブル

久しぶりに現代が舞台のアクション小説を読む。これは行間にねっとりした
情感が溢れていて実に読みごたえがあった。二重三重にも仕掛けが張ってあり
ミステリーとしても面白いし、心理的なサスペンスが強烈で緊張感が途切れない。
女刑事と敵役の犯罪組織のボス神宮の造形が特にいい。
あとで考えるとかなり複雑な設定の話なんだけど読んでいる間はまったく気に
ならず骨太のアクションシーンもあってむしろシンプルな読後感がある。

前回の『東京デッドクルージング』では、『狂い咲きサンダーロード』のようなアナーキーな死闘を目指したけれど、今回は香港黒社会映画の美学にこだわりました。ジョニー・トーの『ザ・ミッション 非情の掟』、アンドリュー・ラウアラン・マックインファナル・アフェア』、ジョン・ウーの『フェイス・オフ』や『男たちの挽歌

友情、兄弟、掟、宿命という野郎のロマンを大いに取り入れて描くのが長年の夢でした。

著者がインスパイアされた作品の中ではジョン・ウー作品しか見ていないな。
顔と声を変えて犯罪組織に潜入するという設定とカバーイラストから確かに
フェイス・オフは連想したし、弟を撃たざるをえない状況に追い込まれる件は
男たちの挽歌シリーズ2作目を思い出した。インファイナル・アフェアはちょうど
見たいと思っていた映画だし、ジョニー・トーの作品も良さそうなので今度
ビデオレンタル屋で探してみよう。

フェイス/オフ 特別版 [DVD]

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