3時10分、決断のとき

3時10分、決断のとき [DVD]

3時10分、決断のとき [DVD]

アリゾナで小さな牧場を営むダンは、かつては狙撃の名手だったが南北戦争で片足を負傷して以来、妻と2人の息子と苦しい生活をおくっていた。そんなある日、町へ向かったダンは強盗団のボス、ベン・ウェイドが保安官に捕まる現場に居合わせる。ウェイドはユマ行きの列車が出発する駅まで連行されることになるが、ダンは報酬目当てに護送役に名乗りを上げる。危険が予想されるなか、はたして列車が出発する3日後の午後3時10分までにベンを送り届けることができるのか…。

これ原作がエルモア・レナードだったのか。好きな作家なのに見るまで知らなんだわ。
映画はなかなか渋い感じの佳作。シンプルなストーリーなのに展開が真っ直ぐ進まない
ところや西部劇にしてはよく喋る人物たちはレナードのタッチが出ているのかも。
ラッセル・クロウ演じる憎めない悪党は完全にレナードのキャラ造形ですね。
なんでダン役のクリスチャン・ベールが自分の牧場に固執するのかストーリーを追う
ごとに自然と理解できるように描いているあたりも上手い演出だった。
ただ残念ながら傑作だ、これが西部劇の醍醐味だと思うまでには至らんのよね。
ところどころ無駄に長かったり都合のよすぎる場面があるけどまあこれは些細なキズで
そう問題でもないか。クライマックスの銃撃戦を敵の人数増やして派手にしすぎたのが
一番のネックだな。あれじゃ急にダンが超人になったように見えるし、圧倒的死地に
立たされた上での決断も弱くなる。身体的ハンディキャップ背負っている設定まで
無駄になりたいへんもったいない。反目していた立場の違う二人が共闘する男泣きの
見せ場まで軽くなってしまった。サービス精神はわかるんですが一方でリアリズムが
犠牲になって惜しいですよ、これ。

この作品はリメイクなので間を置いてオリジナル版もいずれ鑑賞してみましょう。
あくまでカンだけどオリジナル版のほうが出来が良いような気がする。
できればエルモア・レナードの原作が読みたいとこだけど翻訳出ないんだろうなー。