12月の読んだ本 まとめ

2015年12月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:3358ページ
ナイス数:3942ナイス

バンドーに訊け! (文春文庫)バンドーに訊け! (文春文庫)感想
当時は本の雑誌を購読していて、収録の書評をだいたいリアルタイムに読んでいたはず。20年以上前のだから取り上げてる作家にしても現役だったり、すでに消えていたり。なんだか無情だのう。書評のはずなのに私事がやたら書いてあってまるでエッセイ集のようにも読める。それゆえになんだか切ない情感が漂う。その切なさが他人事ではないのは当時これに影響されて読んだ本がたくさんあるからか。書評家・坂東齢人としてもっと活躍してほしかった。パソコン通信で本の情報やりとりしてるって羨ましかったね。今ここで私がやってるのも同じことかな?
読了日:12月30日 著者:馳星周
女賞金稼ぎ 紅雀 血風篇 (光文社文庫 か 51-4 光文社時代小説文庫)女賞金稼ぎ 紅雀 血風篇 (光文社文庫 か 51-4 光文社時代小説文庫)感想
うっひょー、これは面白い!小気味よい快作。復讐ものとして勘所押さえまくりだし、展開がキビキビしている上に捻りがあってグイグイ読ませる。退屈する瞬間がない。序盤はヒロインの造形が弱いかと思ったが、後半ひたすら行動を描くだけで立てるなど小憎らしいほど上手い。派手な見せ場が二段構えであったり、アクションメインかと思いきやミステリー的な伏線や仕掛けも丁寧で小技が効いてる。サービス満点の痛快娯楽復讐活劇。今から来月発売の続刊が楽しみで仕方ない。ベテラン作家の別名義だそうだが確かに手練の味わいと巧さ。
読了日:12月23日 著者:片倉出雲
神子上典膳 (講談社文庫)神子上典膳 (講談社文庫)感想
剣豪小説、冒険活劇、ある種の仕掛け、といろんな要素が入ってるし、各パーツ上質ではあるが、一冊のまとまりで考えるとカタルシスが弱い。剣戟場面の殺気は素晴らしいが勝敗がぼやかされる展開が多い。活劇としては主人公の造形がぼんやり焦点があってないので盛り上がらない。なんでそうなちゃってるのか?は終盤で腑に落ちて、ああなるほどではある。でもこれ、ここにいたるまでの展開をモヤモヤさせる効果になってないか。仕掛けとしては面白いんだけどさ。初期作品なので光るものがあってもまだ炸裂していない、といったところか。
読了日:12月23日 著者:月村了衛
魔法少女まどか☆マギカ[魔獣編] (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)魔法少女まどか☆マギカ[魔獣編] (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)感想
安心と安定のハノカゲ氏によるまどマギコミック版。絵や演出が素晴らしく、アニメ版を上手く取り込んでいて、所々オマージュ的な場面や台詞の挿入も適切。魔獣の造形や見せ方がたいへん面白い。あとアクションやバトルシーンがほんとに上手くなったなあ。ということでヴィジュアル的には隙がないが気になるのは内容。戦う相手が魔女から魔獣に変わっただけの語り直しなだけに思えなくもない。それでも十分に読ませるから良いが、より高みを目指してほしいところ。1巻は土台で、ここから新しいドラマを作ろうという意志は感じられるので2巻待ち。
読了日:12月15日 著者:原案:MagicaQuartet,漫画:ハノカゲ
このミステリーがすごい! 2016年版このミステリーがすごい! 2016年版感想
国内外ともにベストテンどころかベスト20で読んでる本が一冊もない。かといって何かを読んでみようという気にもあまりならず。今のところ読書の興味がミステリーに向かってないようだ。まあ、いずれミステリー読みたくなったときの参考にはなると思う。
読了日:12月12日 著者:
この時代小説がすごい! 2016年版この時代小説がすごい! 2016年版感想
作家や出版社の2016刊行予定を知ることができるのはたいへん有難い。今年も自分なりに時代小説は読んできたものの、こうしてムックを見てみるともの凄い出版量。なんとなく忍者ものが復権してきている気がする。充実のブックガイドになっているかと思います。おかげで読みたい本が増えたけど、それより手元にある積読をじっくり片付けていかんとなあ。
読了日:12月10日 著者:
ワイルド7R(2) (マンサンコミックス)ワイルド7R(2) (マンサンコミックス)感想
冒頭の古都京都を舞台にしたバイクアクション、後半のショッピングモールでの大活劇など絵の密度、構図、発想はさすが望月三起也で目をみはる。しかしワイルド7として期待するものが足りなさすぎて、もにょる。描き下ろしコミックス一冊ではそりゃ無理な話なんだけれど、7人のキャラが立ってこそワイルド7だと思うし。あと一転して反撃に出るパートが短すぎるのでカタルシスが弱い。それでも新作が読めるのは嬉しいことではある。飛葉ちゃんが一歩引いてバックアップで、大悟が前面に出ているのは上手く世代交代してる感じがよく出ていて良いね。
読了日:12月10日 著者:望月三起也
死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々(2)(少年チャンピオン・コミックス・タップ!)死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々(2)(少年チャンピオン・コミックス・タップ!)感想
独特の現実感を揺らめかせる感覚が良いなあ。心をぐらつかせ抉るような話もあればほのぼのもあり、超現実にすっ飛んでいくようなのが混ぜこぜに収録してあるので妙な不安定さがある。しかもあの手この手で表現されるのでクラクラしてしまう。そして読後感は、なんだか切ない。
読了日:12月9日 著者:阿部共実
進撃の巨人(18) (講談社コミックス)進撃の巨人(18) (講談社コミックス)感想
決戦前の前哨というべき内容。それでもドラマは濃く、いまだ新たな謎も提示されページを繰る手は止まらない。それぞれの思いが決算的に語られる一方、爆笑の食事シーンもあって可笑しいやら初期の展開を思い出して懐かしいやら。ラストスパートに向けてキリキリと引き絞られているのがひしひしと伝わる巻。いよいよこの作品そのものが決着を迎えようとしている。ここからどれだけ爆発力を見せるか見守りたい。早く続きを!
読了日:12月9日 著者:諫山創
ハイキュー!! 2 (ジャンプコミックス)ハイキュー!! 2 (ジャンプコミックス)感想
1巻であったスポーツ漫画だから苦手意識はすでに消え、素直に漫画としてすごぶる面白い。コンビ誕生劇から一気にチームの結束に持っていくドラマ展開に加えて、試合展開の痛快さ。人物の出し入れや彫り込み、変化や成長の描き方が滑らか、かつしなやか。著者の手腕がしたたか。
読了日:12月8日 著者:古舘春一
ハイキュー!! 1 (ジャンプコミックス)ハイキュー!! 1 (ジャンプコミックス)感想
単純にスポーツものがそもそも苦手ジャンルなのでなかなか乗れなかったが、反目していたしていた二人が組んで試合を始めてからの展開に一気に飲まれた。歯車が噛み合いかけたか?ってところで引きになったので次巻が気になる。バレーボールのことを排球というのもはじめて知った。
読了日:12月8日 著者:古舘春一
囀る鳥は羽ばたかない 1 (H&C Comics  ihr HertZシリーズ 129)囀る鳥は羽ばたかない 1 (H&C Comics ihr HertZシリーズ 129)感想
いろんな意味で濃厚な内容で、読むのに時間が掛かった。と、いうより濃密な時間を過ごしてしまったということか。構成が素晴らしく人物描写、人間関係が堅牢な建築物の土台が組み上げられるがごとし。キャラクターの立ちようも良く、やはり中心人物になる矢代の屈折した造形が素晴らしい。ヤクザ社会という装飾もたいへんよろしく、そこはかとなく漂う暴力がスパイスとして効いている。まだお話としては土台固めの段階と思うので、ここからのドラマ展開がどう乗っかていくのか大いに期待したい。
読了日:12月8日 著者:ヨネダコウ
どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)感想
トラウマや人生の重みに怯えつつも互いに向き合う心理描写はなかなかに絶妙。終盤の揺さぶりようがたいへん上手い。ときおり入る淡々とした情景描写にも情感があって良い。
読了日:12月6日 著者:ヨネダコウ
村上海賊の娘 下巻村上海賊の娘 下巻感想
上巻の陸戦も濃かったが、下巻は怒涛の海戦描写が圧巻。もはやしつこさすら気持ちの良いぐらい。上巻後半で活躍少なかったヒロインが暴れまくりでスッキリ。それ以上に敵方も暴れに暴れまくりで、荒々しい山車祭りに放り込まれたがごとき臨場感。人物のアクションとリアクションがそのまんま推進力になっている点では実に映画的な小説。上下巻併せて考えるとストーリーはいたってシンプル。ひたすら活劇やユーモアの描写が分厚い。こんなのが今、猛烈に読みたかったので抜群に楽しかった。気持ち的なタイミングが合ってないと胃もたれしたかもだが。
読了日:12月4日 著者:和田竜
酒天童子酒天童子感想
独特の枯れたようで温かみのある文章が摩訶不思議な世界を生みだしており、たいへん読み心地良い。短編集のようで、まとまりのある長編としても楽しめる。古典に触れる楽しみと、現代的な時代伝奇小説を読む楽しみが両方あってお得感あり。内容だけではなくイラストや装丁の雰囲気も素敵で、書籍としての仕上がりが上々ですね。
読了日:12月4日 著者:竹下文子
薄桜鬼 壱 (ビーズログ文庫)薄桜鬼 壱 (ビーズログ文庫)感想
元のゲームや、アニメの方はまったく知らず読んでみたがまずはけっこう面白い。キャラの掘り下げが弱いし、各エピソードが軽いとは思うけれどもノベライズという枠を考えるならば適切な加減にも思える。伝奇的趣向の盛り方がちょっと楽しい。このへんが後々膨らんでいくんでしょうか?
読了日:12月4日 著者:矢島さら

読書メーター