5月の読んだ本 まとめ

2015年5月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:4209ページ
ナイス数:3577ナイス

ガンソード ~夢見るように眠りたい~ (角川スニーカー文庫)ガンソード ~夢見るように眠りたい~ (角川スニーカー文庫)感想
前作がサブエピソード集なら今作は裏エピソード集といった内容。アニメでは狂人にしか思えなかったカギ爪の男の事情や考えが描かれており、同情してしまう。総じて孤独で行き場を失った人々が、居場所や夢を得るまでのお話で温かみがある。それでもやはり彼らは仇役なので後の運命を考えるとなんとも切ない。またアニメでははっきりと描かれなかった設定もよくわかって興味深い。TVシリーズを別方向から照射して陰影を浮き出させた一冊で、読んで良かったノベライズ。もともと面白いアニメではあったが、また印象が変わった。
読了日:5月31日 著者:倉田英之
ガンソード ~夢見る頃をすぎても~ (角川スニーカー文庫)ガンソード ~夢見る頃をすぎても~ (角川スニーカー文庫)感想
最近アニメを全話見てはまったので小説版も読む。外伝集というべき内容で主要3人のキャラクターに焦点を当てた3短編収録。なるほどそれぞれに背負った過去がわかると、よりアニメに深みが出てくる。わりとしっとりした内容かと思いきや、最後の「平成天才ガンソードさん」が悪ノリパロディーの猛烈なラッシュ。いんやもう頭クラクラした。仇役の方を描いたもう一冊のノベライズも読もう。
読了日:5月31日 著者:倉田英之
虚空伝説―餓鬼草子の剣 (祥伝社文庫)虚空伝説―餓鬼草子の剣 (祥伝社文庫)感想
ハードバイオレンス系時代小説。設定と主人公像が練り込んである上、密度が濃い。3話の連作といった構成で各話、趣向が違って面白い。劇画のような荒々しくザラザラした作風も最近なかなか無いもので一周回って新鮮。子連れ狼木枯し紋次郎に近い味わい。これ一冊でもまとまりは見せているが復讐劇の側面もあり、そこはまだ道半ば。あと2冊続きがあるのでなんらかの決着まで描いてほしい。
読了日:5月31日 著者:高橋直樹
若殿八方破れ 木曽の神隠し【徳間文庫】若殿八方破れ 木曽の神隠し【徳間文庫】感想
読みやすさは抜群だし前半は旅情あって良いが、お話のエンジンが掛かるのが遅くちょっと散漫な印象。それなりの仕掛けはちゃんとしてあるしストーリー的にも引きがあるので後の盛り上がりに期待。
読了日:5月28日 著者:鈴木英治
面白本ベスト100面白本ベスト100感想
作品の特色や独自性、作家の工夫を見事に読み込んでいて簡潔に紹介。すでに読んでいる本も多々あるので評論の適確さがなおさらよくわかる。できうれば一冊一冊の論評ががっつり長い方が好みだが、新聞のコラムという枠では仕方がない。
読了日:5月28日 著者:北上次郎
大斬─オオギリ─ (ジャンプコミックス)大斬─オオギリ─ (ジャンプコミックス)感想
9作品それぞれに絵柄の個性が違うのに統一感があるのは、さすがの西尾維新原作力というべきか。どれも会話の面白さに惹きつけられる。その上で各作家が絵ならではのケレン味を表現しまくっていて漫画的快楽が充満。あとすべての作品がいかにヒロインを可愛く描くか?に異様に力が入っていてそこだけでもバリエーション豊富で楽しめる一冊。雑誌の要請もあるだろうけど、やっぱり西尾維新の原作が萌えを喚起させてるんかね?
読了日:5月28日 著者:暁月あきら,小畑健,池田晃久,福島鉄平,山川あいじ,中山敦支,中村光,河下水希,金田一蓮十郎
若殿八方破れ (【徳間文庫】)若殿八方破れ (【徳間文庫】)感想
表紙に廻国活劇とあるがようやく旅に出るところで終わってしまった。1巻かけてセットアップしたというところか。しかし内容は初巻からちゃんと面白い。文章が読みやすいし前半の時代ミステリーな趣向も読ませる。主人公のキャラクター造型もあって明朗快活な味わい。構成がタイトではないが、この手の作品はエピソードが脱線を重ねて膨らんでいくところに良さがあるのであえて散漫にしてあるのだろう。道中記は次巻からのようなので期待したい。
読了日:5月22日 著者:鈴木英治
魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉5 (MF文庫J)魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉5 (MF文庫J)感想
もの凄い内容の密度。この一冊に収めるためにキツキツになっている印象ではあるものの、ここぞという見せ場は盛り上げ記憶に残るので悪くない。ライトノベル的サービスを入れる余地が少ないぶん、作品の地力と格調で読める。第一部完結ということで総括的な満腹感はあるし、第二部への期待も高まるという理想的バランス。あらためて今後も付き合っていきたいシリーズだと思いました。タイトルや設定のインパクトで目を引くラノベが多いし私も好きで読むけど、こういう地味な作り込みやストーリー性で勝負する作品が巻数を伸ばしているのは喜ばしい。
読了日:5月16日 著者:川口士
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 3 (GA文庫)ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 3 (GA文庫)感想
良く言えば丁寧に書かれた王道なんだが、意外性のない話をモタモタと語っているまどろっこしさの方が勝ってしまう。ここまでの3巻分をコンパクトに語って一冊で読ませてくれたならだいぶ違う気がする。また作品の芯にある冒険心や熱気は本物と思うので作品に愛着があるのも事実。語り口の方は作者のレベルアップに期待というところか。
読了日:5月15日 著者:大森藤ノ
竹取物語 (角川文庫)竹取物語 (角川文庫)感想
再読。私の持っているバージョンは、沢口靖子かぐや姫に扮している映画スチールが表紙でこれも時代性ですな。もともとのお話がけっこう面白いのと、星新一の訳文のぼわーんとした掴み所の無さが良い感じ。所々、シニカルに思えるのは訳の効果。和歌のやりとりも皮肉めいていて味わいがある。月の虚無的なイメージはジブリ映画の解釈なだけじゃなくて、原文にもともとあったんだ。
読了日:5月14日 著者:
以下略以下略感想
小ネタがわからんのが多々あり、特に私はゲームに無知なのでそのへんのパロディーはさっぱりでも勢いで巻き込んでくる。オタクであることの鬱屈と歓喜が叩きつけるようにぶちまかれていて唖然。サブタイトルで黒澤明作品並べてるけど内容とほとんど関係ねえ。第五話の聖杯戦争ネタはドリフターズのアイデアが萌芽している様が描かれてるようにも思える。それより序盤の「何で俺が平野綾と結婚できねーんだよ!!なんとかしろよ!!お前ら!!」のインパクトが強烈ではあるが。
読了日:5月9日 著者:平野耕太
Dの魔王 3 (ビッグコミックス)Dの魔王 3 (ビッグコミックス)感想
3巻のエピソードは女性漫画的な絵柄がプラスに働いて、良い意味で原作と違う味わいが出たように思う。全3巻通して考えれば登場するスパイたちが美形になっているのも最終的には納得できた。原作よりマイルドな内容になっているのも追加、改変したパートがなかなかに秀逸なので漫画版のオリジナリティーとして受け入れられる。むしろコミカライズという枠で独自性を出そうとするのは作画家の誠実さも感じられて、良い。原作1冊目までで終わったがちゃんとまとまりはある。まだ残りのD機関シリーズは3冊あるので続編の可能性にちょっと期待。
読了日:5月9日 著者:柳広司,霜月かよ子
Dの魔王 2 (ビッグコミックス)Dの魔王 2 (ビッグコミックス)感想
作画家の方がこなれてきたんでしょうか、1巻のぎごちなさが取れてきてかなり良くなってます。特にロビンソンの静的な絵から醸しだされるサスペンスはなかなか。2つ目のお話、魔都は途中で終わっているので3巻へ。
読了日:5月9日 著者:柳広司,霜月かよ子
なぎさちゃんのカレシ 1 (ジェッツコミックス)なぎさちゃんのカレシ 1 (ジェッツコミックス)感想
オタクと付き合ってしまった普通の人のお話は今ではそんなに珍しいものではない。しかしここまでイチャイチャ度が高いのははじめて目にした。それでいてまったく嫌味がなく、こちらまで多幸感に包まれる。読む感触が田中ユタカ作品に近いですな。4コマ漫画という枠も内容を下品しないセーブになっていて爽やか。
読了日:5月8日 著者:未影
琴浦さん 7 (完) (マイクロマガジン☆コミックス)琴浦さん 7 (完) (マイクロマガジン☆コミックス)感想
完結巻。それぞれのキャラクターが落ち着くところに落ち着いて綺麗にまとまりました。欲を言えば森谷さんに開けた未来を作って欲しかった気もするが概ね満足。そして寂しい。終わってみるとお話そのものも面白かったけれどESP研究会のメンバーがみんな好きだったし彼らがいるだけで楽しかったんだな、と。本編は終わっても日常編がまたスタート予定なのはたいへん嬉しいです。新入部員の活躍もそっちで描かれそうだし。アニメが良い出来だったから今度は小説版読んでみますかね。えのきづ氏の新作にも期待です。
読了日:5月7日 著者:えのきづ
怪男児―出雲あやめ18歳 純情にして凶暴 (エクセル・ノベルス)怪男児―出雲あやめ18歳 純情にして凶暴 (エクセル・ノベルス)感想
主役のキャラ頼りで書いてしまった一冊というか、一冊をインパクトとエネルギーで持たせるキャラクターを造形した夢枕獏先生の勝ちというべきか。「魔獣狩り」や「闇狩り師」など当時書いていた一連の伝奇バイオレンスのアンチテーゼとも取れる内容。強烈な妄想力と頑健な肉体が主人公にあっても、ほとんど超自然的な要素のないストーリーにはパワーを炸裂させる瞬間がない。煮えたぎるパトスを持て余す様はなんとも可笑しく、そして物哀しい。鬱屈した青春小説の魅力があるし、物語は閉じていないから続編あっても良いが書かれることはなかろう。
読了日:5月1日 著者:夢枕獏
レオナルドの扉レオナルドの扉感想
久々の真保裕一作品。ジュブナイル風味の歴史冒険活劇といったお話。冒険アニメとして構想されたもので映像映えしそうな場面多々。内容の仕込み、歴史背景の書き込みも堅牢。しかし手堅さ丁寧さが作品を窮屈にした感もある。文章が生真面目なのでユーモアが弱く全体的に重さを感じるし、キャラ造形にも派手さが欲しい。前半の物語展開が鈍重なのには、かなりまいった。後半は痛快に読めるのだが。丁寧さ以上に思いきった大胆さ軽妙さがあった方がより少年少女小説らしさが出たと感じます。この内容でワクワク感が持続しないのはかなり惜しい。
読了日:5月1日 著者:真保裕一

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