4月の読んだ本 まとめ

2015年4月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:1985ページ
ナイス数:3245ナイス

燃えよペン (バンブー・コミックス)燃えよペン (バンブー・コミックス)感想
再読。のちの「吼えろペン」よりは炎尾燃先生の大人気なさが強烈で凶暴さすらある。実在人物躍動編で漫画ばりの過剰な表情を真剣に作る島本先生がたまらない。この話はこのバージョンでしか読めないので貴重ですな。意味不明の気合いと勢いがページをめくれば注入される。
読了日:4月30日 著者:島本和彦
水滸伝 1 九紋龍の兄妹 (ハルキ文庫 ひ 7-17 時代小説文庫)水滸伝 1 九紋龍の兄妹 (ハルキ文庫 ひ 7-17 時代小説文庫)感想
それなりに水滸伝は読んできたけれど、マニアというほどでもないのでこの作品がどうアレンジしているか細かくはよくわからない。それでもエピソードを整理してコンパクトに語ってる、単純な勧善懲悪に仕立ててはいないの2点は著者のオリジナリティーと見て間違いないように思う。初巻としては簡潔に読めてスイスイ展開するのでかなり良いです。雰囲気は古典ながらも語り口はたいへん現代的にリニューアル。痛快さもちゃんとある。特に勧善懲悪の考え方を変えると梁山泊の豪傑のあり方も変わってくると思うので、今後の展開に興味津々。続巻待ち。
読了日:4月23日 著者:平谷美樹
中2の男子と第6感(1) (ヤンマガKCスペシャル)中2の男子と第6感(1) (ヤンマガKCスペシャル)感想
作中、はっきりタイトルが出てくるし明らかにファイト・クラブインスパイヤされて描かれた作品なのは間違いない。それで似たような内容になるどころか福満しげゆきテイストの塊な別物が出てきてしまうのが面白いところ。しかも猛烈に漂う童貞臭。ムチムチの女の子、胸元、太ももを描く描線には執念すら感じる。著者は結婚して子供もいてこのエネルギーを保てるのが不思議。中盤からの展開の捻り、突発的に現れる暴力にも不穏なものがあり予想以上に楽しめた。ぜひ続きを読みたい。
読了日:4月23日 著者:福満しげゆき
鈴狐騒動変化城 (福音館創作童話シリーズ)鈴狐騒動変化城 (福音館創作童話シリーズ)感想
児童書なので内容は短いがこれだけ楽しませてもらえれば十二分。序盤からすっとぼけた雰囲気でそこはかとなく可笑しみがあるし、中盤からのボケとツッコミの連打、行き違いが重なって騒動が広がる様は笑いをこらえられず腹が痛い。スラップスティック小説でこんなに声を出して笑ったのはトニー・ケンリックの「俺たちには今日がある」以来か。落語や喜劇を生で見ているかのごとき臨場感で、文章の間合いや関西弁の使い方の巧さがたまらない。終盤はホロッとさせて最後はハッピーエンドでまとめるなど読後感も爽快。古風で滑稽なイラストもぴったり。
読了日:4月23日 著者:田中哲弥
荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)感想
荒木氏による映画論の新書2冊もたいへん面白かったが、今回は漫画家が漫画のことを語っているだけに文章に熱気が加わっている気がした。自作をテキストに漫画演出を解説するのはわかりやすいし、自信には満ちていても自慢げではない。こういうところに凄まじい知性が垣間見える。漫画術とはいっても漫画に限らず、広義のエンターテイメント論として良く書けている。荒木氏が情熱を持って漫画を描いているのは作品から伝わるが、情熱を持続させる不断の努力もしているのがよくわかった。所々、ジョジョの台詞を連想させる言い回しが出るのも嬉しい。
読了日:4月20日 著者:荒木飛呂彦
槐(エンジュ)槐(エンジュ)感想
舐めてた相手が実は殺人マシーンでした展開でまず上がって、さらに負け犬の復活劇がきてもう興奮。これで少年少女の成長ドラマ、迫真のアクションシーンとくりゃあもう面白い!というしかない。簡潔な語り口も素晴らしく一気読み。荒唐無稽にも思える内容だが熱量とサービス精神が圧倒してくる。ジュブナイルとハードバイオレンスを上手く混ぜ合わせた感じ。これが平和な世界と凶悪な世界は隣り合わせだ、というテーマを浮き彫りにする効果にもなっていて余韻が残る。所々で文章や台詞にクサみもあるけれど熱気になっているので、まあ良し。
読了日:4月14日 著者:月村了衛
小説 ロード・トゥ・ドラゴン(上) 〜actual blue〜小説 ロード・トゥ・ドラゴン(上) 〜actual blue〜感想
ゲームのノベライズであるが、私はまったくゲームの予備知識なし。それでも単体のファンタジー小説としてちゃんと読める。簡潔ながらもしっかり背景や人物が描かれていて、これはかなり志の高いノベライズではないか。途中、ジャンケンという単語が出てきて気持ちが萎えかけたら、なんと世界観に合わせたジャンケンの設定があるなど細かい部分の配慮に感心。ただ描写が丁寧すぎてストーリーの展開が遅いのが欠点。しかし終盤の伏線回収と主人公の成長ドラマは盛り上がるものがあり、この上巻だけでも納得できる内容と言えよう。下巻を楽しみに待つ。
読了日:4月12日 著者:加納京太
進撃の巨人(16) (講談社コミックス)進撃の巨人(16) (講談社コミックス)感想
伏線回収と驚くべき真相のラッシュ、激しく理性と感情を容赦なく打ち据えられながらも、ページを繰るのをやめられない。そして見えてくるのは各キャラクターがそれぞれに背負った十字架。彼らは宿命に準じる?それとも運命に逆らうのか?己の信じた道を歩むのか?ここからの物語はそれぞれの選択が大きく左右するはず。その先には神話生まれるのか新たな煉獄が待ち受けているのかさっぱりわからず、唯一はっきりしているのはこの漫画が最高潮に盛り上がってきていて、今後も目を離せない展開が待ち受けていることだ。
読了日:4月9日 著者:諫山創
終わりのセラフ 7 (ジャンプコミックス)終わりのセラフ 7 (ジャンプコミックス)感想
絶望的な状況で人類が強大な敵に、決死の闘いを挑むつーのになんでこうも展開が軽いわけ?修学旅行でふざけすぎたグループが教員に呼び出し食らったようなレベル。そもそも主人公チームだってそれぞれ凄絶な過去背負ってるだろうになんで遊び半分、しかも遅刻するんよ。叱る側にも真剣味が感じられない。この巻は作品の上っ面だけな部分が垣間見えて心底ウンザリした。流れとしては決戦の前にヘラヘラした気持ちを引き締めろ!をやりたいと思うがヘラヘラせんと真面目にやれ!はこの作品そのものに言いたい。山本ヤマトの絵は素晴らしいが。
読了日:4月6日 著者:山本ヤマト

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