2月の読んだ本 まとめ

2015年2月の読書メーター
読んだ本の数:21冊
読んだページ数:3518ページ
ナイス数:5098ナイス

機械仕掛けの愛 3 (ビッグコミックス)機械仕掛けの愛 3 (ビッグコミックス)感想
業田良家の作品はあとになればなるほど高みに登る。それがこのような連続性のないオムニバス作品でも。「ブレイドノイド フーコ」の言葉がなくなれば、感情もなくなるというテーマには筒井康隆の傑作長編「残像に口紅を」を連想。ロボットが善行したり人間を教え導くなどの各場面は心温まる感動が湧くが一方でアイロニーも感じる。ロボット男女がまぐわう描写の可笑し哀しいことよ。ロボットとは?人間とは?を考える問題提起として刺激的だしそれ以上により大きな哲学的テーマも見え出した。次巻はより純化したものが読めそうで今から楽しみ。
読了日:2月28日 著者:業田良家
学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD5 (角川コミックスドラゴンJr. (KCJ104-5))学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD5 (角川コミックスドラゴンJr. (KCJ104-5))感想
展開的にはちょい小休止とはいえ、緊迫するシチュエーションにショッキングな展開はある。にしてもサービスシーンやライトノベル的な萌えばかりが頭に残る。おれの読み方が悪いのか?と思って読み直したらやっぱりそうなる。ひたすら中二病的充足感を満たそう、しかないのがたまりませんなあ。それを薄いととる人も当然いるだろうけど私は爽快なので続けて読みます。
読了日:2月28日 著者:
ラスト・ワルツラスト・ワルツ感想
前作「パラダイス・ロスト」は物足りなさがあったが今回は納得の内容。各編趣向が好みなのもある。疾走する特急列車内での暗殺者との駆け引き「アジア・エクスプレス」、映画という題材を巧妙に取り込んで派手目に仕上げた「ワルキューレ」、どちらも良いが白眉は「舞踏会の夜」。まさかこのシリーズでロマンスが描かれるとは思わず、女性から見た結城中佐が禍々しくもエレガント。仮面舞踏会で踊る魔王の退廃美。短篇集のタイトルは「ラスト・ワルツ」でも特に終着点は見せてないので続きはありそう。柳広司氏のシリーズ以外の作品も読むとしよう。
読了日:2月27日 著者:柳広司
学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD (4) (角川コミックスドラゴンJr. (KCJ104-4))学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD (4) (角川コミックスドラゴンJr. (KCJ104-4))感想
シミュレーション的なマクロ描写がやたら手堅いのは原作者の力量か?佐藤大輔の小説読んだことないからわからんのだけども。なんにせよここまで深みを出そうとせず、感覚的な刺激とこれ見よがしなエロスで突っ走る姿勢にはカタルシスすらある。
読了日:2月26日 著者:佐藤ショウジ
学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD 3 (角川コミックス ドラゴンJr. 104-3)学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD 3 (角川コミックス ドラゴンJr. 104-3)感想
やっと大人グループ合流とあいなったけども、ここらへんの描き方は風刺が効いてるなあ。ゾンビとお色気メインにしてもこういうとこで地に足の着いた感じを出せるのは強い。「人間見たくないものは見ないようにする」は至言。この漫画そのものは作り手が見せたいものの塊な気がするけどね。読者としても見たいものをさらに見ていたいので続刊にいきます。
読了日:2月26日 著者:佐藤ショウジ
学園黙示録HIGHSCHOOL OF THE DEAD 2 (角川コミックス ドラゴンJr. 104-2)学園黙示録HIGHSCHOOL OF THE DEAD 2 (角川コミックス ドラゴンJr. 104-2)感想
まったくお上品ぶるつもりがないのが潔い。社会秩序無視して無鉄砲に行動してみたいという子供っぽい欲望満たしまくり。楽しくなってきた。これだけ陰惨な内容で残るのが入浴シーンというのも変だが、これでいい。
読了日:2月26日 著者:
学園黙示録HIGHSCHOOL OF THE DEAD 1 (角川コミックス ドラゴンJr. 104-1)学園黙示録HIGHSCHOOL OF THE DEAD 1 (角川コミックス ドラゴンJr. 104-1)感想
これアニメは最初の方見てたんだけど、気になるので漫画であらためてということで手に取る。普通の学園生活がいきなりゾンビパニックでぶち壊されるストーリーラインには恐怖より不謹慎なワクワク感が湧き上がる。グロ描写より女性キャラのエロチシズムが勝ってしまう絵のバランスも独特。悪趣味だとは思うが悪趣味を堪能できれば良いのでどんどんエスカレートすることに期待。
読了日:2月26日 著者:
エイリアン兇像譚 (朝日ノベルズ)エイリアン兇像譚 (朝日ノベルズ)感想
このシリーズも長いこと続いているのに八頭大は高校生ヒーローのまんまだねえ。だからところどころの小ネタ、ギャグが親父くさいのはむしろ微笑ましい。行き当たりばったりなのに妙にまとまる展開が菊地秀行らしいというか。宇宙からやってくる剣豪というのもなかなか面白いアイデア。細かいことはあれどこのシリーズは主人公の活きのよい語りがあって、ばんばん行動が描かれれば良いような気もする。ヒロイン太宰ゆきの出番より外谷さんいじりの方が多いのはどうかと思うが。また次回作楽しみにしてます。
読了日:2月26日 著者:菊地秀行
パラダイス・ロストパラダイス・ロスト感想
シリーズ3冊目のこの本も各短編、それぞれに趣向が違うしツカミの巧さで読まされてしまう。それでも物足りないと思ってしまうのはシリーズのフォーマットに慣れてしまって驚きがちょっと目減りしたのがあるかと。それと最後の「暗号名ケルベロス」が切れ味鈍い気がした。前後編に分けるまでの内容ではない気がする。前2冊とくらべると短篇集としての引き締まりが少し落ちる印象。とはいえ十分に面白いとは思うので次のラスト・ワルツにも期待。できればシリーズとして守りの姿勢に入らず「攻め」に出てほしいですね。
読了日:2月24日 著者:柳広司
デストロ246 5 (サンデーGXコミックス)デストロ246 5 (サンデーGXコミックス)感想
一気にアクセル踏みっぱなしモードに入るかと思いきやさらにぐつぐつと煮詰めてきた。動きがなくて殺気だけ飛び交う場面がヒリヒリする。いきなり始まる沙紀VS紅雪戦の猛烈さ、伊万里の乱入と三すくみで燃え上がった瞬間で次巻に引くとは憎たらしい。ストーリーはよく考えたらろくに把握できてないのだが、タメといて瞬時に炸裂するバイオレンスの繰り返しがひたすら気持ちいい。
読了日:2月22日 著者:高橋慶太郎
せっかち伯爵と時間どろぼう(6)<完> (講談社コミックス)せっかち伯爵と時間どろぼう(6)<完> (講談社コミックス)感想
単にギャグ漫画、と割り切って読んでしまったのがいかんかったのもあるが最終巻にしていよいよよくわからん。やたらと第○部完が連発するのは自爆ネタとして面白かったけれど。読み直せば頭の整理は出来るんだろうとは思いながらも、これは早く終わってくれて良かったような気がする。久米田先生の次回作には凝り過ぎずもっとわかりやすいのを期待したいですね。
読了日:2月20日 著者:久米田康治
ダブル・ジョーカーダブル・ジョーカー感想
いきなり表題作からつかまれる。対立する国産スパイ組織の暗闘。「死ぬな、殺すな」VS「躊躇なく殺せ、潔く死ね」どちらが勝つのか?この趣向からゾクゾクするし内容の切れ味も抜群。各短編趣向が凝っている上、読みやすい。前作ジョーカー・ゲームとくらべると結城中佐の出番は減っているように思うが印象はより鮮烈に。「ブラックバード」はまるで完結編のようにも思える内容だが、続刊は現段階であと二冊ある。お楽しみはまだ続く。
読了日:2月17日 著者:柳広司
エージェント・コード~恋の陰謀は執筆のあとで~ (一迅社文庫アイリス)エージェント・コード~恋の陰謀は執筆のあとで~ (一迅社文庫アイリス)感想
久々に読む女性向けレーベル作品。主人公男女のキャラ立ち良く掛け合いが面白い。スパイ活劇の要素がなんちゃって、ではなく堂に入ったもの。ガンアクション描写も手堅いし、お宝争奪戦や要人暗殺などジャンルの勘所も押さえている。その上でエレガントな舞台背景やロマンスなど少女小説らしいテイストが良き味わい。地に足のついた感じが素晴らしく著者は丁寧に仕立てているようだ。途中の構成を緊密にしてテンポアップすれば、よりスリルやサスペンスが出たと思うがまずは十分な出来。シリーズにしても良さそうだがこれ一冊でもまとまっている。
読了日:2月17日 著者:瑞山いつき
未来S高校航時部レポート TERA小屋探偵団 (講談社ノベルス)未来S高校航時部レポート TERA小屋探偵団 (講談社ノベルス)感想
昔懐かしの香り漂うジュブナイル小説、とは思うがキャラの味付けは今時のライトノベル。含蓄のある文章は若い作家にはまず書けないと思う。時代伝奇ロマン、ミステリー、時空SFその他様々な要素アイデアがぶち込んであり縦横無尽に駆使して一本の物語にまとめ上げる手腕も、辻真先のキャリアの厚みあってこそ。芸で読ませる。気になるのは中盤以降出てくる強烈なメッセージ性。80代の辻先生が今だからこそ絶対訴えたいテーマを伝えようという真摯さは好きだしお説教があるのもジュブナイルらしくて嬉しいんだけど若い読者は引くかも。
読了日:2月16日 著者:辻真先
ジョーカー・ゲーム (ビッグコミックススペシャル)ジョーカー・ゲーム (ビッグコミックススペシャル)感想
映画を見た上での感想。優柔不断にしか見えない主人公、運頼りでご都合主義な展開といった欠点に、このコミカライズでは納得できる理由付けや改変がなされているのには少し感心。特に風呂敷の畳み方は原作小説のティストが上手く出ていて柳広司氏の手が入っているんじゃないかと。初読の感想と同じく、スパイアクション漫画として上等とは思えないがこういった次第でちょい評価が上がり。
読了日:2月14日 著者:渡辺雄介
Dの魔王 1 (ビッグコミックス)Dの魔王 1 (ビッグコミックス)感想
小説のコミカライズとして水準レベルには達している。しかしこの女性向け漫画特有の絵柄があまりマッチしていると思えないし、人物の表情やポーズのぎごちなさ構図の平板さがどうも気になる。また無理に崩したギャグを挿入したり作風がウェットになっているのも好みではない。特に結城中佐の風貌が受けつけんなあ。やはり原作の硬質なトーンの方がカッコイイ。
読了日:2月14日 著者:柳広司,霜月かよ子
SFが読みたい! 2015年版SFが読みたい! 2015年版感想
珍しく国内編第1位はすでに読んでたな。でもオービタル・クラウドあんまり好きではないので(良い作品とは思うけど)あんまり嬉しさがない。1990〜2013のベストSFはわりと読んでいる作品もあってこっちの方が感慨深い。リスト的にタイトルが並んでるだけなのは残念。でも25年分の国内海外ベスト本を詳細に解説するだけで分厚い本になるから無理ではある。あと本だけじゃなくてアニメや映像作品のSFも網羅しているあたり懐が深い。まあぼちぼち面白そうなの見たり読んだりしていきます。
読了日:2月13日 著者:
アルスラーン戦記(3) (講談社コミックス)アルスラーン戦記(3) (講談社コミックス)感想
キャラクターも増えてきたというのに、それぞれがちゃんと立って躍動。台詞が多いがスイスイと頭に入る。簡素に描いてるようでアクションシーンが上手いし残酷な場面も品があって汚くならない。漫画として抜群に上手い。これで原作が田中芳樹じゃなければなあ。前巻ほどではないけど、ところどころ厭味ったらしい。
読了日:2月13日 著者:荒川弘
桜宮高校バスケット部体罰事件の真実―そして少年は死ぬことに決めた―桜宮高校バスケット部体罰事件の真実―そして少年は死ぬことに決めた―感想
学校、顧問らの誠実さや思いやりの欠如には寒気がする。また自殺した少年のノートからは真面目さ聡明さが伝わってくるだけに、ひたすら暴行と圧力で追い込むだけの指導は異常としか思えない。一方でほとんどが被害者側の視点でしか事件が語られないからノンフィクションとしては弱く感じる。特に第6章「体罰をする側の心の闇」はもっと切り込んでほしかった。私も教師の過剰な暴力を受けたり見たりしてきた口なので、あのようなことを平気でする人間の心理が知りたい。皆がそうではなかろうけど体育会系に漂う暴力の臭いは吐き気をもよおす。
読了日:2月8日 著者:島沢優子
ジョーカー・ゲーム (ビッグコミックススペシャル)ジョーカー・ゲーム (ビッグコミックススペシャル)感想
予告編と符合する場面があるし映画のコミカライズと解釈して良いんだわな?原作と違ってサスペンス・アクション風だがアレンジとして有り。しかし漫画として人物の顔の描きようがのっぺりしている上、表情の付け方が薄い。またところどころ挿入されるアクションシーンの下手さが致命的で、絵面が間抜けに見える。二転三転する逆転劇なのに緊張感がないので高揚しない。お話はけっこう面白いとは思うんだけれども、こうもぞんざいな演出で読まされては印象が平板なだけです。せめて活劇が上手い漫画家が描いたらかなり良いものになったかと。
読了日:2月6日 著者:渡辺雄介
ジョーカー・ゲームジョーカー・ゲーム感想
各短編、趣向が違って飽きない。どれも地味ではあるが全編の背後に存在する結城中佐のキャラクターが鮮烈で華になっている。それなりにスパイ小説は読んできたものの、日本という国のために暗躍する情報員を活き活きと描いた作品ははじめて接した。時代背景や設定の置き方が巧みで、今どき非情のスパイ組織を納得させる形で読ませる。なんといっても装幀含めて作品のルックがカッコ良く、アクションや色気といった享楽的要素を徹底して排除しているのも実に渋い。作風がライトなのもむしろクールに思えてくる。
読了日:2月4日 著者:柳広司

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