9月の読んだ本 まとめ

2014年9月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:2290ページ
ナイス数:1873ナイス

映画を見ると得をする (新潮文庫)映画を見ると得をする (新潮文庫)感想
なんとなく再読。昔の本なので例えに出てくる映画は古いし、時代が変わっているから今に適用できない部分は少しある。しかし言っていることは現代の映画を見るにしても十二分に通用することで、ひょうひょうとした独特の語りもあって良い。特に説教臭いのにだんだんと説教が聞き心地良くなってくるのは池波エッセイならではの芸。この本は思春期に読んだから私の血肉になっていて気恥ずかしい。でも読んだのがきっかけで本当にたくさん映画を見たし、本当に得もしたと思う。そういう意味ではこの本「読書をすると得をする」でもあるのです。
読了日:9月30日 著者:池波正太郎
天網炎上カグツチ (ガガガ文庫)天網炎上カグツチ (ガガガ文庫)感想
ヒーローものの型をきっちり押さえて書いてあるので一定ラインの面白さはある。が、異色の設定がありながら型を突き破るものではないので設定負けしている印象。ネットや炎上を題材にしているのであればもっと掘り下げて取り組んでくれればよかったのにあるあるネタだけ拾っていて浅い。小ネタとして瞬発的には笑えてもそれが全体の面白さにまったくつながってないから白ける。それなりには楽しく読めたがこういうタイプの作品こそ炎上を招くほどのパワーがほしいところ。
読了日:9月24日 著者:砂義出雲
からくり隠密影成敗 (2) 弧兵衛、策謀む (新時代小説文庫)からくり隠密影成敗 (2) 弧兵衛、策謀む (新時代小説文庫)感想
登場人物の紹介編だった前巻とくらべるとこちらはより忍者バトル全開。アタック・アンド・カウンター・アタックの連打が活劇として読ませる。では作品全体がハードなトーンなのか?というとそうでないのが面白いところ。主役の弧兵衛が凄絶な闘いの最中に自分の年齢や髪の薄さを気にするボヤキ節を吐いたり妙に可笑しい。事件の発端がセコい詐欺事件であったり、またしてもコンゲーム的な仕掛けで反撃があったり頭を使う感じは興味深い。主要キャラ同士の掛け合いなどユーモアに上手くくるんであって軽妙洒脱。まだ続きそうなので次巻が楽しみ。
読了日:9月23日 著者:友野詳
せっかち伯爵と時間どろぼう(4) (講談社コミックス)せっかち伯爵と時間どろぼう(4) (講談社コミックス)感想
フォーマットが固まってきたんでしょうか、かなり読みやすくなった気がする。ただ前のさよなら絶望先生とくらべるとサンジェルマン伯爵のキャラや「次元が違うのだ」という決めゼリフが弱い気もせんでもない。まあこれはこれで面白いし今後作品としても成長していくだろうし。
読了日:9月20日 著者:久米田康治
アプリ完全攻略ガイドVOL.2 <超人気艦隊シミュレーションゲームを最強攻略!> ([テキスト])アプリ完全攻略ガイドVOL.2 <超人気艦隊シミュレーションゲームを最強攻略!> ([テキスト])感想
こういうまとまった攻略本があれば助かるなー、とは思ってたけど読んだら読んだでまったく艦これで遊ばなくなってしまった。
読了日:9月19日 著者:
モンテ・クリスト 2 (ヤングジャンプコミックス)モンテ・クリスト 2 (ヤングジャンプコミックス)感想
初期の手塚治虫石ノ森章太郎を思わせる絵柄、そして張りのある描線と絵そのものがエロチックなのにこの巻は特に女性が艶めかしく描いてありドキリとする。絵柄そのものは健康的なのに漂う退廃美、サディズムのギャップ。ねっとりとした描き込みに圧倒されるが時折大胆に省略した大ゴマで魅せる演出にハッとする。スチームパンク風の世界観にはさらに深みが出てきたし、物語的にもメタフィクションな仕掛けが面白くなってきて今後が楽しみ。刊行ペースの遅さが難だがこのクオリティーでは納得するし打ち切りの憂き目なく、描ききってもらいたい。
読了日:9月19日 著者:熊谷カズヒロ
図書館戦争図書館戦争感想
概ね面白く読んだが詰め込んだ要素の噛み合わせに問題を感じて引っかかる。この手のお話はリアリズムにこだわらず、寓話的に読むべき、とは思うもののメディア良化法というものが絵空事ではなくなりつつあるしそのあたりの風刺が効いているか?というとミリタリー成分が相殺しちゃってる部分もあるしなあ。軍事行動を描いても誰も死ぬわけでもないから緊張感がない。設定を練り込むか異常なディストピアに振るかしてほしいところ。少女漫画的キャラや会話の生きの良さは素晴らしくシリーズ開幕編と考えるなら望みすぎかも。続編の展開次第だな。
読了日:9月18日 著者:有川浩
新聞錦絵の世界 (角川文庫)新聞錦絵の世界 (角川文庫)感想
かなり昔に貸したまま返ってこなくなったこの本を再入手そして久々に再読。そりゃ精神はワイド・ショーや写真週刊誌に引き継がれているかもしれないが禍々しいアートとしての味わいは錦絵ならではのもの。やはり残酷な殺人を扱ったものが見応えがあり、鮮血の毒々しい色彩には陶酔感すらある。また人物の表情、女性を描く筆致に潜むエロティシズムなど実に淫靡。時折、珍妙にしか見えない絵が混じっているのも愛嬌があって良い。高橋克彦による解説文が含蓄があり、的確に仄暗い時代の闇へ案内してくれる。
読了日:9月16日 著者:高橋克彦
ガールズ&パンツァーエンサイクロペディアガールズ&パンツァーエンサイクロペディア感想
ガールズ&パンツァーの小ネタ、ディテール、キャラクターの味わいをしゃぶりつくせる事典本。特にセリフには含蓄深いものが多くあったんだなと感心。普通に読んでいてもミリタリーや歴史の知識まで頭に入ってきてお得な気分。制作においての工夫や演出方針なども知りたかったがこの本はそういう趣旨ではないので求めるのも筋違いか。そっち系の本も出ているからいずれ読んでみよう。
読了日:9月13日 著者:
ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)感想
気力が落ちてどうにも読書が進まないので、傾向を変えるためこの本を選んでみた。簡素でコミカルな絵なので読みやすい。ただ私も鬱病持ちなのでドーンとくるものもある。ツレ氏の症状や苦悩はあるあるだらけでまったく人事ではない。発病したときは辛かったなー、とかツレ氏は奥さんという理解者がいて羨ましいなー、とか(私は甘えととられて苦労した)様々な思いが駆け巡る。私も今では病状が軽くなったしどっこい生きていってるのかも?少なくともそういう気持ちにはなれた。だから多少の気力の上下もあまり気にしないでおこう。それでいいかと。
読了日:9月11日 著者:細川貂々
侵略!イカ娘 17 オリジナルビデオアニメ(Blu-ray)付限定版 (少年チャンピオン・コミックス)侵略!イカ娘 17 オリジナルビデオアニメ(Blu-ray)付限定版 (少年チャンピオン・コミックス)感想
終わらない夏を描いている作品ではあるけれども少しずつキャラクターの関係性に変化が出てきているのが興味深い。お話にバリエーションが出てきたし作者なりに工夫しているのがわかる。それでも読んでいて伝わってくるのはほのぼのして楽しいなあ、だけなのがリラックスできて良いです。OVAも丁寧な作りで良かった。ということでこの調子でまだまだ続いてほしいですなイカ娘。
読了日:9月10日 著者:安部真弘
刺客―鬼役〈2〉 (光文社時代小説文庫)刺客―鬼役〈2〉 (光文社時代小説文庫)感想
主人公周りの登場人物が立ってきたので1巻よりも魅力的になってきたが背景にある歴史観や政治観が浅くて気になる。あくまで娯楽時代小説であるからそういうところを突っつきすぎるのもどうかと我ながら思うものの、悪役の人物造形などコテコテすぎるのもまた困る。悪い意味で古臭い時代劇を引きずっている感じ。面白くは読めるからこうも批判的に言うことはないのだが他の時代小説家でいえば上田秀人のような現代性、あるいは風野真知雄作品のユーモアみたいな何かサムシングがあればだいぶ印象が違うのにと思ってしまう。
読了日:9月6日 著者:坂岡真

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