6月の読んだ本 まとめ

2014年6月の読書メーター
読んだ本の数:34冊
読んだページ数:9603ページ
ナイス数:2069ナイス

仮面の忍者赤影Remains 4 (プレイコミックシリーズ)仮面の忍者赤影Remains 4 (プレイコミックシリーズ)感想
キャラクターの掘り下げやってさあこれから、ってところで打ち切りエンドになってしまった。しかし風呂敷を広げに広げて畳まずに終わってしまうのも伝奇ロマンの醍醐味であると思っているのでアリです。ただもう一回怒涛のクライマックス展開が読みたかったなあ。きっちり完結しなくてもあと一巻ぐらいは続いて欲しかった。
読了日:6月29日 著者:横山光輝
封神演義〈下〉降魔封神の巻封神演義〈下〉降魔封神の巻感想
奇想が炸裂し登場人物の入退場が激しくなる一方、物語としては単調になってしまう。物凄い宝貝なり妖術なり持った仙人が出てきたところで後出しジャンケン的にもっと凄いパワーの持ち主連れてきて勝つ、の繰り返しだからなあ。制約のない能力バトルはどうも緊張感がない。制約がないゆえに想像力がひたすら爆発していくトリップ感もあるわけで一概に悪いとは言えないが。これは編著者の問題ではなく安能務版でもほぼ同じ感想を持ったから封神演義そのものの特徴でもあり欠点でもあるのだろう。むしろそのへん上手くフォローをしたリライトかも。
読了日:6月27日 著者:許仲琳
封神演義〈中〉仙人大戦の巻封神演義〈中〉仙人大戦の巻感想
中巻からいよいよファンタスティックな要素が全開に。様々な人物、仙人が多数入り乱れ奇想天外な宝貝が飛び交う。それでいて圧倒的に読みやすい。十絶陣の戦いなど少年漫画のノリで、そりゃ漫画化されるわなあと思ってしまう。
読了日:6月25日 著者:許仲琳
封神演義〈上〉妖姫乱国の巻封神演義〈上〉妖姫乱国の巻感想
安能務版、藤崎竜の漫画版は読んだことあれど綺麗サッパリ内容を忘れているので新鮮な気持ちで読めた。イラストが的確に配置されてわかりやすい上に展開が早い。あと文章が簡素なので残酷な描写がかえって引き立ってしまいちょい引いた。上巻はまだ助走段階というところか。
読了日:6月25日 著者:許仲琳
洗い屋お姫捕物帳―まぼろし若さま花変化洗い屋お姫捕物帳―まぼろし若さま花変化感想
児童書でページ数も多いわけではないが、堂々たる痛快時代小説。なんといっても詰め込んだ仕掛けが面白く、カチリカチリと組み合わさって大きな絵になっていく。登場人物も躍動しているし、これだけのことをやって平易な児童読み物にちゃんと仕上がっている。これお姫ちゃん主役でシリーズ化しても面白そうだなあ。越水さんはそうとうな実力があると見たので大人向きのレーベルで書かれた作品も読んでみたい。
読了日:6月24日 著者:越水利江子
人生 第8章 (ガガガ文庫)人生 第8章 (ガガガ文庫)感想
ゆるコメとして安定の面白さ。これだけギャグで勝負にきていて誰も傷つけないようなほのぼの空間があるのが好ましい。新キャラの本格的参加は次巻からですかね?その前にアニメの放映が始まるし、しばらくは映像でレギュラーメンバーとのお付き合いが続きそうです。
読了日:6月23日 著者:川岸殴魚
英雄三国志 (6) (集英社文庫)英雄三国志 (6) (集英社文庫)感想
政治的闘争が中心になり時代が変わっていく中で、必死に武将としての生き方を貫こうとする姜維の姿は感動的でもあり時に滑稽にも思えたりする。この苦渋に満ちた味わいや悲壮感はこれまでなかったもので独特の重みのある最終巻にあいなった。特に著者の死生観が出ていて虚無感すらある。全巻を通して思えばすべてのエピソードが柴田錬三郎の色合いに染まっており力量のある作家というものは素材をここまで自分のものにしてしまうものかと感心。英雄たちが生き生きと活躍する前半、ダンディズムを貫く軍師の物語である後半、それぞれに堪能できた。
読了日:6月22日 著者:柴田錬三郎
All You Need Is Kill 2 (ジャンプコミックス)All You Need Is Kill 2 (ジャンプコミックス)感想
2冊で過不足なく綺麗にまとまった。1巻と2巻のカバーをカラーで対照的にしてあるのは憎い趣向。場面場面が鮮烈に残るし哀切さも増しでこれは原作超えしているかも?これでハリウッド版の映画も出来が良ければ三度楽しめるってもんだが期待していいのかな。
読了日:6月20日 著者:小畑健
All You Need Is Kill 1 (ジャンプコミックス)All You Need Is Kill 1 (ジャンプコミックス)感想
原作を読んですぐ漫画版に手を出したので読者としても主人公同様にループ感があって興味深い体験が出来た。小畑健の画力、演出でスッキリとクールな漫画に仕上がっている。キャラクターを描く漫画力の強さははっきり実感できて、特に主人公の顔つきの変貌表現が素晴らしい。次巻へ。
読了日:6月20日 著者:小畑健
All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)感想
長いこと積読中であったが映画版の公開間近にしてようやく手に取る。荒涼とした文章、殺伐とした世界観がよくマッチしている。こんな雰囲気のライトノベル自体が珍しい。キャラクターの描き込みが少ないのはかえって効果的でラストシーンはなにか大切なものを置き忘れてきたようなもの哀しさ。根本の話には普遍性があるし確かにハリウッド映画になってもおかしくはない。続編準備中だそうでこれだけまとまった話をどう再起動してくるのか、さてさて。
読了日:6月20日 著者:桜坂洋
聲の形(4) (少年マガジンコミックス)聲の形(4) (少年マガジンコミックス)感想
メイン二人の話からぐっと広がって群像劇的になってきた。目に見えない人間関係の糸がもどかしくからんでいる様が丁寧に描写されていく。特に遊園地の場面は空気感の表現が秀逸。ちゃんとコミカルな場面を挟み込んでくるセンスも良い。こういうバランスがあるから深刻で重い印象にならない。しかし一冊の内容は充実していても読みきると続きが気になって渇望感に悩まされる。これが一番のもどかしさ。
読了日:6月19日 著者:大今良時
英雄三国志 5 攻防五丈原 (集英社文庫)英雄三国志 5 攻防五丈原 (集英社文庫)感想
孔明と仲達、主に軍師同士の戦いがメインではあるがそれは裏を返せばもはや英傑たちが雌雄を決する時代の終焉でもある。さらには諸葛亮孔明退場劇でもあるからこの巻には悲壮感がさらに漂う。次巻にて完結なのでこの長大な物語を如何に閉じるか柴田錬三郎の手腕に期待したい。
読了日:6月19日 著者:柴田錬三郎柴田錬三郎
アニメ公式ガイドブック 日常大百科アニメ公式ガイドブック 日常大百科感想
珍妙なディテールが事細かく百科事典風に並べられ、解説されるとそれだけで妙に可笑しい。資料的にもしっかりしていてなかなか便利。日常は好きなアニメなのでよく見返すし、いい副読本が手に入った。
読了日:6月18日 著者:
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)感想
久々に読む小川洋子作品。物語の奥行きをあえて見せない書きようは静謐でラストは唐突ながらも深い余韻がある。小説を読んだ、というよりは一枚の絵画を見つめていたような味わい。そこにはラフスケッチのように簡素さもあるし、シュールレアリスムのごとき不思議さも感じる。
読了日:6月18日 著者:小川洋子
新参 百万石の留守居役(三) (講談社文庫)新参 百万石の留守居役(三) (講談社文庫)感想
ようやくシリーズタイトルの百万石の留守居役にふさわしい内容に突入。ラストで起承転結の転にあたる出来事が起こったので次巻以降大きな波乱があると見た。おそらくはこのシリーズ剣戟ロマンの方向には進まず、権謀術数渦巻く世界に放り込まれたド素人の主人公がいかに留守居役として成長していくか?に焦点があたっていると思われる。3巻目にしていまだ展開はスローペースではあるもののそれだけの仕込みはしてきていると思うので次巻ぐらいでエンジンがかかるのではないか。
読了日:6月18日 著者:上田秀人
星くず英雄伝 (1) 放浪惑星の姫君 (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)星くず英雄伝 (1) 放浪惑星の姫君 (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)感想
スペースオペラを久々に読む。ライトノベルなのでもっと軽いと思っていたら細部はかなりの作り込み。昔の作品の復刊ではあるが生きの良さは古びていないように感じたし、消極的でなく行動する主人公は一周回って新しい。次巻の新装版刊行待ち。
読了日:6月17日 著者:新木伸
頑張って生きるのが嫌な人のための本~ゆるく自由に生きるレッスン頑張って生きるのが嫌な人のための本~ゆるく自由に生きるレッスン感想
頑張って生きようとして空回りが続き、厭世的な気分なのでタイトルに惹かれて読んだら内容もばっちり合ってた。読んでいる間は著者が私が直面している苦悩について考察してくれるので程よく頭を休められる。どうやら私には後ろ向きに生きる強さがある気がしてきたし、うまく倒れたままでいることもできるみたいだから無理に前向きになって自分の自由を縛ることは今のところやめておこう。引用している参考文献がなかなか面白そうだししばらくは読書する自由を満喫してみるか。こういう考え方している著者が書いた小説が気になるので近々読みます。
読了日:6月16日 著者:海猫沢めろん
英雄三国志〈4〉出師の表 (集英社文庫)英雄三国志〈4〉出師の表 (集英社文庫)感想
柴錬三国志後半戦突入。ここからは前巻より5年以上経って書かれた続編なので微妙にトーンが変わっている。特に語り口がフランクになっているように思った。悪趣味な性描写が入るのはちょっと困るが多くの主要登場人物が退場したあとの物語をこれだけ盛り上げられるのはさすがの筆力といえよう。
読了日:6月16日 著者:柴田錬三郎
不死の猟犬 1巻 (ビームコミックス)不死の猟犬 1巻 (ビームコミックス)感想
ある程度高いクオリティーが維持されているのでそれなりに面白いのだがすべてにおいて固い印象。アクション、スプラッター、ブラックユーモアなど過激な要素が詰め込んであるわりに描写が弾けていず、どこか歯がゆい。初めて読む漫画家さんなのでよくわからないが、上品で丁寧な作風の人がちょっと無理をしてアクの強い作品を描いている感じがした。この辺板についてくれば良くなっていきそうではある。
読了日:6月15日 著者:八十八良
忍剣花百姫伝(七)  (ポプラ文庫ピュアフル)忍剣花百姫伝(七) (ポプラ文庫ピュアフル)感想
最終巻にしてなお風呂敷を広げつつ、伏線回収もするという荒技で見事完結。切なくも希望に満ちたラストシーンも良し。古典的な伝奇小説の醍醐味があり最新のRPGをプレイしてるかのごとき斬新さを持つ実に面白い作品だった。構想が見事な上に各登場人物が躍動していればもう言うことがない。さらに圧倒的スピード感。全巻通して読むと力強いメッセージ性があり、時に物語というものはフィクションの枠を超えて読者の人生を力づけるものだという感慨もひとしお。映える場面多数なので漫画なりアニメなり映画なり映像化されたら良いなあ。
読了日:6月15日 著者:越水利江子
忍剣花百姫伝(六) (ポプラ文庫ピュアフル)忍剣花百姫伝(六) (ポプラ文庫ピュアフル)感想
最終巻手前にして怒涛のクライマックス。かなり派手に伝奇SF的バトルをやっているが積み上げがあるので荒唐無稽にはならず大いに盛り上がる。あとはこれだけ広げた風呂敷を残り一冊でいかに畳むか次第。
読了日:6月13日 著者:越水利江子
忍剣花百姫伝(五) (ポプラ文庫ピュアフル)忍剣花百姫伝(五) (ポプラ文庫ピュアフル)感想
前巻も予想を超える展開があったが今度は反対のベクトルに振り切ってくるとはびっくり。ある程度お話の仕掛けが見えてきたがこれほど凝った構想を仕込んでいるとは驚きで、正直舐めててごめんなさいとしか言いようがない。これはかなりの面白さだと思う。特にこの5巻はドラマチックな悲恋があり印象深い。残り2冊は駆け抜けるように読んでしまいたい。
読了日:6月12日 著者:越水利江子
瀬戸内海賊物語 ぼくらの宝を探せ!瀬戸内海賊物語 ぼくらの宝を探せ!感想
映画関連本でも単体の児童文学としてよく出来ている。冒険に出るまでの子供たちの心情や交流、情景などよく描けているだけに肝心の冒険パートの分量が少なく駆け足なのが残念。ここの謎解きや成長ドラマを書き込んでくれればさらにロマンや感動が生まれて数段上の作品になっていたと思う。枚数の制限からだろうがもったいない。もっとファンタジックな内容と思っていたがわりとリアル寄り。これに関しては荒唐無稽さがなく身近に体験できる冒険といった感じがあって良し。映画のアナザーストーリーなので映画の方はどうなのか機会があれば見たい。
読了日:6月12日 著者:黒田晶
絶対ナル孤独者 (1) ―咀嚼者 The Biter― (電撃文庫)絶対ナル孤独者 (1) ―咀嚼者 The Biter― (電撃文庫)感想
シンプルな設定の話だけれども展開といい描写といい手練れていて読ませる。敵役の心理描写など実に上手いし、ちゃんと主人公のトラウマと対になっているのがまた憎い。こういうのがあってこそ対決が燃える。徹底的に押しまくるアクションシーンもまた良し。こういう陰性でダークなムードの作品とは思わなかったがこれはこれで味がある。昔流行った伝奇バイオレンスに近い雰囲気でどこか懐かしい。今回は序章で本題は次巻のようだがこの後向きな考え方の主人公が如何に変化していくのか次はどんな敵がでてくるのか続刊に興味は尽きない。
読了日:6月12日 著者:川原礫
忍剣花百姫伝(四)  (ポプラ文庫ピュアフル)忍剣花百姫伝(四) (ポプラ文庫ピュアフル)感想
またしても予想を超える展開。まさかこのお話でタイムパラドックス的緊張感を味わうとは思わなんだ。中盤のクライマックスとしても大いに盛り上がる。
読了日:6月11日 著者:越水利江子
忍剣花百姫伝(三) (ポプラ文庫ピュアフル)忍剣花百姫伝(三) (ポプラ文庫ピュアフル)感想
前巻でも破天荒な展開だとは思っていたけれどもこの巻はさらに大ネタ仕掛けてきた。脇キャラだけでなくヒロインも本格的に活躍しだしいよいよ波瀾万丈。スピード感抜群だし謎は次々繰り出されるしでちびちび読むつもりが止まらなくなった。次巻へ。
読了日:6月11日 著者:越水利江子
忍剣花百姫伝(二) (ポプラ文庫ピュアフル)忍剣花百姫伝(二) (ポプラ文庫ピュアフル)感想
もともと児童書なので明朗快活な展開を予想していたらかなりの伝奇ホラー趣向をぶち込んできましたなあ。どんどん風呂敷が広がっていくし物語のダイナミズムが出てきた。ページ数が少なくとも中身は十分に濃い。次巻への引きも上手い。
読了日:6月10日 著者:越水利江子
忍剣花百姫伝(1) (ポプラ文庫ピュアフル)忍剣花百姫伝(1) (ポプラ文庫ピュアフル)感想
前回読んだときは物語のリズムにうまく乗れなかったが今回はピッタリあった。初巻からかなりの物語要素詰め込んであるしとにかく話が動く。終盤にしてようやくヒロインの冒険が始まるので本題はいよいよ次巻という感じ。今回は続けて読んでいきたい。
読了日:6月10日 著者:越水利江子
英雄三国志〈3〉 (集英社文庫)英雄三国志〈3〉 (集英社文庫)感想
この3巻は第一部完結というべき内容であるからここまででもまとまりのある内容。前半の赤壁の戦いを中心とした高揚感と後半の英雄たちの退場劇の寂寥感、ともによく描けているし落差が凄い。確かに著者がこだわるダンディズムが濃厚に漂う。ちょっと描きようが素っ気なさすぎる部分もあるにはあるがしらじらしく書き込まないのが柴田錬三郎なりの粋さでもあるのだろう。
読了日:6月10日 著者:柴田錬三郎
ドラゴン・フライ! (朝日ノベルズ)ドラゴン・フライ! (朝日ノベルズ)感想
お話のエンジンがかかるのが遅いので魅力的な設定なのに序盤ワクワク感が薄いのが惜しい。しかし中盤以降王道ジュブナイルをガッツリ押さえた展開はけっこう熱く、ボーイ・ミーツ・ガールや少年の成長ドラマを堂々とやってくれるのは嬉しい。クライマックスの空中戦の臨場感もなかなか。コンパクトに面白い。
読了日:6月9日 著者:諸星崇
ハイスピード! (文春文庫)ハイスピード! (文春文庫)感想
まあまあ。確かにタイトル通りハイスピードで読めるが、速さ=面白さにあまりなっていない。強烈な謎があるわけでもないからさほど先が気にならないし、主人公がタフで行動力ある性格なので安心感が出てしまいサスペンスが弱い。ジェットコースター展開を意識しすぎて逆に技巧に溺れてしまった気がする。いくらなんでも葛藤が少なすぎ。徹底的な行動描写を積み重ねたハードボイルドな文章はなかなか格好良いのでこれで無骨な犯罪小説か暴力小説を読んでみたいと思った。なんにせよ前作のノンストップ!より数段落ちる。
読了日:6月8日 著者:サイモンカーニック
英雄三国志(2) (集英社文庫)英雄三国志(2) (集英社文庫)感想
前巻同様疾走感溢れる展開と文体の小気味よさで分厚いながらもつかえることなく読めた。諸葛孔明が本格的に物語に登場するのは前振りの上手さがあって盛り上がるがそれ以上に前半の関羽のエピソードが生き生きとしている。ああいったストイックなキャラクターは柴田錬三郎の筆致に合っているのだろう。また、この巻ではそれほど目立たないながらもネガティブな感情描写などよく書けている。
読了日:6月7日 著者:柴田錬三郎
祓魔科教官の補習授業 落第少女に咒術指南 (一迅社文庫)祓魔科教官の補習授業 落第少女に咒術指南 (一迅社文庫)感想
学園異能バトル小説ではあるものの、その中に落ちこぼれ弱小チームが知略で勝利していくスポーツものの要素もあり面白さが多層的。ではあるがこの一冊では上出来の開幕編といったところまでで仕掛けが本当に炸裂するのは続刊以降か。キビキビした語りがあり、設定や人物も練って仕込んでいるので今後痛快かつドラマチックな展開に期待できそう。
読了日:6月3日 著者:すえばしけん
夏の終わりとリセット彼女 (ガガガ文庫)夏の終わりとリセット彼女 (ガガガ文庫)感想
ヒロインの記憶喪失という設定が効果的に使えていない(意味が無いというわけではない)、作劇的に持って行き方がマズいところも多く上出来の小説とは言えない。それでも文章は基本的に丁寧なのでと最後まで読める。それより作者が真摯に訴えていることがちゃんと心に突き刺さることに大いに好感を持った。技量があればもっと輝いたとは思うが新人の作品としては独特のサムシングがあることを評価したいし荒削りゆえの初々しさもある。作品を重ねて洗練されていけばかなりの良作がいずれ生まれるのではないか。その意味でもぜひ次作を読んでみたい。
読了日:6月2日 著者:境田吉孝

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