5月の読んだ本 まとめ

2014年5月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3199ページ
ナイス数:1548ナイス

know (ハヤカワ文庫JA)know (ハヤカワ文庫JA)感想
知的興奮に満ちていて引っ張られる。これこそSFを読む醍醐味。内容は重厚だがライトノベル的な軽さで語り、伝奇ロマン的な味付けさえして色彩豊かなイメージを作り出してしまうのもまた芸か。先が知りたくなる展開や作品のテーマからしてknowというタイトルもこれしかない感がしてピッタリだと思う。コンパクトにまとまりすぎな気がしないでもないが著者はさらに上をゆく傑作を書けそうな予感があるのでさらなる期待は新刊で応えてもらおう。あと山田正紀初期の神テーマSF作品群を連想した。青春小説と哲学的SFが同居してる感じが近い。
読了日:5月30日 著者:野崎まど
英雄三国志〈1〉義軍立つ (集英社文庫)英雄三国志〈1〉義軍立つ (集英社文庫)感想
抜群のリーダービリティ。冒頭から一気に読ませるがさらに中盤以降、著者も乗ってきたのかぐいぐいオリジナリティーが発揮される。漂うエロティシズムやサデイズムは柴錬節と言えるだろう。登場人物を大胆にデフォルメしてあったり展開を思い切って省略して見せ場を徹底的に盛り上げる手腕には講談的な面白さがありその巧さには舌を巻く。そのぶん吉川版三国志と比較すると各場面の味わいが薄く歴史小説的重厚さに欠けるきらいはある。しかしこの作品の場合、弱点と捉えるよりは疾走感溢れる大衆娯楽小説として語り直したことを評価したい。
読了日:5月26日 著者:柴田錬三郎
ゴールドラッシュ・オブ・ザ・デッド (富士見ファンタジア文庫)ゴールドラッシュ・オブ・ザ・デッド (富士見ファンタジア文庫)感想
西部劇+ゾンビ+忍者というカオスな面白さを狙ったと思われるがそれぞれの素材に対する掘り下げや描写の厚みがないのでちょっと変わった設定のお話レベルにとどまる。特にゾンビに関しては書きようが淡白すぎて恐怖が伝わってこない。会話のバカバカしさや終盤のトンデモバトルなど面白いとは思うがこういうぶっ飛びはもっと土台をシリアスにガッチリ固めてこそ映えるのではないか?これではただの何でもありだ。勢いはあるので楽しくは読めたが一種の珍作でいわゆる突き抜けた怪作までには到らない。
読了日:5月22日 著者:永菜葉一
ルガルギガム 下 運命の<王>と帰還の門 (ファミ通文庫)ルガルギガム 下 運命の<王>と帰還の門 (ファミ通文庫)感想
上巻で感じた不満点が下巻で特に解消されることもなく読みにくかったとしか言えない。本格ファンタジーを書こうという意志は伝わるのだが小説としては結局設定を並べただけでまったく物語を紡ぎだせていないしこれでは乗れない。主人公の一人称もぎごちなく適切でないし現代に帰りたい気持ちもヒロインに対する想いも説明的でちっとも切実でなく気持ちが入らず。やろうとしていることに比べて筆力がぜんぜん足りてないように思う。
読了日:5月20日 著者:稲葉義明
せっかち伯爵と時間どろぼう(2) (少年マガジンコミックス)せっかち伯爵と時間どろぼう(2) (少年マガジンコミックス)感想
明らかに下ネタ、ヤバネタを増量して描いているのを確信。そこらへんの際どさはかなり面白いんだけども主要登場人物がいまいち馴染んでこないなあ。
読了日:5月19日 著者:久米田康治
月光条例 29 (少年サンデーコミックス)月光条例 29 (少年サンデーコミックス)感想
見事に大団円。しかし手放しで喜べないので複雑な心境。最終巻という意味ではラスボスに魅力がないのはちょっとなー、と思うしストーリーの積み重ね的な意味合いでは登場人物に思い入れが弱かったので胸に迫るものがない。前のうしおととらからくりサーカスが良すぎたのでハードルが上がり過ぎたのかも。でも29巻も付き合えば期待しちゃうよなあ。ぼやきはしたけれども総じて面白い作品ではありました。藤田和日郎なりの壮大な物語論でもあったわけだし。次は地味でしみじみした味わいの作品を読んでみたいですね。
読了日:5月18日 著者:藤田和日郎
ルガルギガム 上 黄昏の女神と廃墟の都 (ファミ通文庫)ルガルギガム 上 黄昏の女神と廃墟の都 (ファミ通文庫)感想
作者は本格ファンタジーを書こうとしてそれをライトノベルの枠に落とし込もうと苦心しているのは理解できる。しかしこれはいくらなんでも語り口がマズすぎ。特に冒頭の掴みの悪さ手際のまどろっこしさはかなりしんどい。設定をガッチリ固めてはいてもストーリーとして昇華出来ていないのはかなり問題だと思う。
読了日:5月13日 著者:稲葉義明
アルスラーン戦記(2) (少年マガジンコミックス)アルスラーン戦記(2) (少年マガジンコミックス)感想
コミカライズとして良い出来とは思うけれども2巻目にして原作の嫌味さがすでに鼻につく。結局主人公側は皆イケメン聡明、敵対側は馬鹿で下衆、だもんなあ。田中芳樹特有の作劇がどうにもいけ好かない。次巻は読まなくていいかも。
読了日:5月9日 著者:荒川弘
ダイナマイト刑事 BURNING 2020 (桜ノ杜ぶんこ)ダイナマイト刑事 BURNING 2020 (桜ノ杜ぶんこ)感想
もともとのゲームらしい展開になるのはかなり終盤の方ではあるものの、そこに至るまでの過程が近未来ポリスアクションとしてちゃんと描けてるのが強み。内容にもヒネリがあって単純なアクション小説にはなっていない。ノベライズという枠にもとらわれすぎていないのでゲームをまったく知らない人が読んでも楽しめる内容だと思う。
読了日:5月6日 著者:おかず
男子高校生の日常(6) (ガンガンコミックスONLINE)男子高校生の日常(6) (ガンガンコミックスONLINE)感想
全巻読んだと思ってたらこの巻だけ飛ばしてた。アニメで見た話もあったけれども終わったと思っていた漫画の新しいエピソードが読めたような気がしてお得感あり。シチュエーションを作りすぎな罪×10よりこっちのほうが笑わせ方が自然でいいなあ。
読了日:5月3日 著者:山内泰延
からくり隠密影成敗弧兵衛、推参る (新時代小説文庫)からくり隠密影成敗弧兵衛、推参る (新時代小説文庫)感想
典型的な勧善懲悪時代小説ではあるが典型の捻り方がなかなか面白い。主役がリストラ忍者3人組であったりハードな冒頭から想像もつかないコミカルな展開があったり。特に中盤のコンゲーム的展開は爆笑もの。今の現代社会と重なるようなテーマをそっと入れてあるのも良い味付け。
読了日:5月3日 著者:友野詳
罪×10(1) (ガンガンコミックスONLINE)罪×10(1) (ガンガンコミックスONLINE)感想
テンポとノリで笑ってしまったが単行本で一気に読んでしまうとパターンが似たようなのが多いのは気になってしまう。まだ1巻目なので悪ノリまでいってないからかその辺は続刊次第か。あとこの人の描く暴力的な女の子は相変わらず可愛い。
読了日:5月2日 著者:山内泰延

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